特集

普及が加速するファイバーレーザマシン

3台のレーザマシンを2シフトで24時間フル稼働

薄板はFOL-AJ、厚板はENSIS-AJ、中板・大板はFO-MⅡで対応

株式会社 青鋼

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画像:3台のレーザマシンを2シフトで24時間フル稼働①ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJは出力2kWながら16㎜以上の厚板に特化して運用している/②ENSIS-AJの最新型NC装置AMNC3iに表示された1カ月分の稼働履歴/③3台のレーザマシンの上には三色灯が設置され、マシンの稼働状態(運転中・待機中・停止中)がひと目でわかる

モノづくりのまち・東大阪の鋼材加工業

日本有数のモノづくりの街、東大阪市で鋼材加工業を営む㈱青鋼(せいこう)。鋼板を中心に薄板から厚板まで――様々な鋼種・板厚の切板加工に対応するため、2台のファイバーレーザを含む計3台のレーザマシンをすべてシャトルテーブル付きで設備し、2シフト制を敷くことで、極めて高い稼働率と生産性を実現。短納期が求められる鋼材加工業にあって、同社は月300トンの仕事量を平均納期2日―即日~3日以内で納品している。

創業者である青木宏社長は、大手鋼材商社に長年勤め、常務取締役にまでなった。その後、50代で独立し、1984年に同社を創業。大阪府大東市でシャーリングマシンとガス溶断機による切板の加工・販売をスタートした。

1987年にはプラズマ切断機を導入するため、東大阪市加納に第2工場を開設。大東市の本社工場でシャーリング加工とガス溶断、東大阪市加納の第2工場でプラズマ切断を行うようになった。

その後、レーザマシンの普及にともない、加工精度を高めるためプラズマ切断機をレーザマシンFO-4020(4kW)に入れ替え、第2工場はプラズマ切断工場からレーザ加工工場となった。FO-3015(4kW)を増設したことでレーザマシンは2台体制となり、さらにFO-4020(4kW)をLC-4020F1NT(6kW)に入れ替えたことで19 ㎜以上の厚板加工にも対応できるようになった。

青木社長の子息にあたる青木隆専務は「2014年初頭、受注量の増加に対応するため、東大阪市水走に新工場を設立し、2カ所に分散していた生産拠点を統合しました。それとともに、3台目のレーザマシンとしてファイバーレーザマシンFOL-3015AJ(4kW)を導入。2015年9月には省エネ補助金を活用し、LC-4020F1NT(6kW)・FO-3015(4kW)との入れ替えで、ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJと4×2m材に対応できるCO2レーザマシンFO-MⅡ4222NT(4kW)を導入しました。現在はENSIS-AJ(2kW)とFOL-AJ(4kW)のファイバーレーザマシン2台、それとFO-MⅡ(4kW)のCO2レーザマシン1台の、計3台体制となっています」と語っている。

画像:3台のレーザマシンを2シフトで24時間フル稼働左:青木隆専務(左)と田村繁紀製造部長(右)/右:vFactoryのバーチャルファクトリー画面。事務所にいながら3台のレーザマシンの稼働状況を把握できる

多種多様な仕事にレーザマシンで対応

得意先は大阪市内を中心に200社ほど。大手建材商社と総合建設業者の主要2社で売上全体の40%程度を占める。残る60%の得意先の業種は、鋼材商社、建材、空調機器、産業機械、自動車部品などと幅広い。

基本的には切板で納品するケースが大半だが、近年はタップ、開先、ショットブラスト、フライス加工まで社内で対応できるようになったことで、顧客満足度と付加価値を高めていこうとしている。曲げ加工の社内設備はないが、依頼があれば東大阪市内の協力工場に外注し、対応する。

取り扱う鋼種は、鉄系が95%と圧倒的に多く、SS・SM・SN・S45Cといった建築・機械構造用鋼材、SECC・SGCCといった表面処理鋼板、縞鋼板など、顧客から要求される仕事には何でも対応する。ステンレスの比率は5%程度と少なく、その中ではSUS304系が多い。

加工板厚はガス溶断で70 ㎜まで、レーザ加工で0.5~25㎜に対応する。ガス溶断はトーチを6本備え、同時に加工できることから、厚板だけでなくロットサイズが大きい仕事を中心に加工している。

2014年にレーザマシン2台体制から3台体制になったこともあり、現在の業績はリーマンショック前の水準を上回る。加工トン数は会社全体で月間平均300トン程度、このうちガス溶断は60トン程度で、全体の80%に相当する240トン程度をレーザで加工しており、レーザ加工中心の業態となっている。

  • 画像:3台のレーザマシンを2シフトで24時間フル稼働ファイバーレーザマシンFOL-3015AJ(4kw)。0.5~9㎜の薄板~中板の領域を加工する
  • 画像:3台のレーザマシンを2シフトで24時間フル稼働4×2m・板厚22㎜まで対応できるCO2レーザマシンFO-MⅡ4222NT(4kw)

画像:3台のレーザマシンを2シフトで24時間フル稼働左:FO-MⅡ用のネスティングデータ。SPH・板厚6㎜の5×10´材にパーツ・イン・パーツで隙間なく割り付けられている/右:FOL-AJで加工した後のスケルトン

会社情報

会社名
株式会社 青鋼
代表取締役
青木 宏
住所
大阪府東大阪市水走4-3-19
電話
072-962-5516
創業
1984年
従業員数
24名
事業内容
レーザマシン・シャーリング・ガス溶断・フライス盤などによるスチール・ステンレス・銅・真鍮・アルミなどの切断・切削・穴あけ・曲げ加工全般
URL
http://seikou-eastosaka.com/

つづきは本誌2016年4月号でご購読下さい。

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