2016年を展望する

新春アンケート調査

経営者のマインドは“攻め”へとシフト

3社に1社が1億円超の大型投資を検討/IoT・スマートファクトリーへの関心も高い

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停滞感が増す国内経済

2015年の日本経済は、上期・4-6月期の実質GDPが前期比マイナス成長、7-9月期は1.0%の微増となった。「ものづくり補助金」「設備投資促進税制」「省エネ補助金」などが中小製造業の設備投資を下支えしたものの、全体では、GDPの6割を占める個人消費が伸び悩み、2割を占める民間設備投資が2期連続で前期比マイナスとなった。

2010年まで2ケタ成長を続けてきた中国経済が7%成長に減速したことで、世界経済も大きな影響を受けている。景気の先行指標といわれる工作機械受注額は、昨年8月から前年比マイナスに転じ、2015年暦年の受注総額も前年比マイナス成長は避けられない

しかし、中小製造業を中心に、生産性の向上や老朽化した設備の更新を目的とした投資意欲には根強いものがある。また、戦後70年が経過して老朽化した社会インフラの大規模修繕や、2020年の東京五輪開催に向けた首都圏のインフラ整備、震災復興需要、アベノミクスの重点分野である医療・航空宇宙・エネルギー・次世代自動車などに期待が集まっている。昨年10月に発足した第3次安倍内閣は「新・3本の矢」や「1億総活躍社会」を掲げ、景気の好循環を目指している。

経営者のマインドは“攻め”へとシフト

こうした業界を取り巻く環境の変化に、国内の板金企業はどのように対応しようとしているのか ― 小誌では毎年恒例の「新春景気見通しアンケート調査」を11月末に実施した。小誌の定期購読者と、これまでに取材で訪問した企業の中から無作為に350社を抽出し、電子メールによりアンケート調査を行った。

今回のアンケート調査では、景気が上向きになるとの見方が昨年から半減、停滞感が強まっていることがわかった。その一方、「省エネ補助金」「ものづくり補助金」などの設備投資を支援する施策を背景に、1億円以上の設備投資を計画している企業が1/3にのぼり、「新分野開拓」を志向する企業が増加するなど、“攻め”のマインドを強く感じさせる結果となった。

今回は恒例の設問のほか、新たに「設備投資の対象となる工程」「リーマンショックによる得意先の入れ替わり」「認証取得」「海外からの製造回帰」「IoT・スマートファクトリーへの関心と期待」についての設問を追加した。

期限までに回答があったのは129社、回答率は36.9%だった。以下、各設問に対する回答結果と、そこから読み取れる業界トレンドをまとめた。

Q1 2016年の国内景気の見通しについて((単一回答))

画像:経営者のマインドは“攻め”へとシフト

「好転」は1/4、「横ばい」「悪化」が増える

「2015年より好転する」が25.0%となった。昨年は「好転する」「ゆるやかに回復する」が合わせて54.1%と過半数を占めていた。今回から「ゆるやかに回復する」の選択肢がなくなった影響があるにしても、景気が上向きになるとの見方が半減する結果となった。

「現状と変わらない横ばいが続く」が前回比23.7ポイント増の52.1%、「2015年よりも悪化する」も9.2ポイント増の14.6%と大幅に増え、停滞感が強まっている。「見通しがつかない」は3.9ポイント減の8.3%だった。

「2015年は消費増税があった2014年よりも好転すると予想していたが逆だった」というコメントもあった。中国市場の動向、VWショックによる欧州自動車産業の低迷、政情不安、2017年の消費増税など「2016年は不安材料ばかり」とのコメントも複数寄せられた。

つづきは本誌2016年1月号でご購読下さい。

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