生産性改善に取り組む台湾板金業界
超難問 ― 「1時間で納品希望」にも対応
加工領域を拡大するENSIS-AJ
極保精密工業 股份有限公司 (Ji Bao Precision Industry)
①ファイバーレーザマシンENSIS-4020AJ+LST-4020AJ/②ENSIS-4020AJ(3kW)で加工した鋼板・板厚19㎜の切断面品質はCO2レーザと比べても格段に良い
社名に込めた願い
沈勇任董事長
極保精密工業股份有限公司の創業は1996年、今年で22年目の会社だ。創業当時の社名は、「光特精密工業」とし、董事長も夫人が担っていた。2007年に今の社名に変更し、本社工場も現在地へ移転。それを機に、沈勇任氏が董事長に就任した。今、夫人はほかの事業で活躍しながら、同社の財務関係の仕事をしているという。
台湾では古くから、「社名で会社の命運が決まる」といわれている。同社もこの社名変更で命運が変わったのか、事業は順調に発展していったという。
「極保」という社名にはどんな意味があるか尋ねると、「台湾語で『極』の発音は、『お金』を表す言葉と発音が似ており、『保』は満腹という意味があります。それで『お金』が『満腹』になるほどに儲かる企業になりたい、という願いを込めました」と沈董事長は話してくれた。
9名のプログラマがいるデザイン・プログラミングルーム
FO-MⅡ RI3015
起業前はレーザジョブショップの工場長
沈董事長は起業する前、台中市内のレーザジョブショップで工場長をしており、精密レーザ加工や機械板金加工に精通していた。台中市は工作機械メーカーや半導体製造のファウンドリ大手TSMC(台湾積体電路製造)の本社工場がある。そのため、工作機械や半導体製造に関連した装置カバーなどに使われる板金製品を加工する板金加工企業が集積、そうした企業から賃加工の仕事が発注されており、レーザマシンを導入してジョブショップを起業すれば、自分も企業家になれると考えた。また、勤め先への通勤時間が往復で2時間以上かかっていたことから、自宅近くでの開業を目指した。
1996年の開業にあたっては、アマダ台湾からレーザマシンLCV-3015βとベンディングマシンRGを導入した。LCV-3015βはその後、2台目も導入して、精密レーザ加工から切断・曲げまでの板金加工の仕事も徐々に増やしていった。
しかし、次第に大板から加工する大型部品、大ロット製品の仕事もくるようになった。
そこで、4×2m対応のレーザマシンを探したが、アマダ台湾では対応するマシンがなかった。この状況を打開しようと2007年に社名変更、工場移転し、パナソニック製の4kW発振器を搭載したレーザマシン2台を相次いで導入、大板の加工に対応するようになった。
左:曲げ加工を行うHDS-1303NT/右:溶接組立が終了した機械カバー製品
会社情報
- 会社名
- 極保精密工業股份有限公司
- 董事長
- 沈勇任
- 住所
- 台湾・台中市龍井區忠和村海尾路256巷22號
- 電話
- +886-4-26304769
- 設立
- 1996年
- 従業員数
- 25名
- 主要事業
- 精密レーザ加工、機械板金加工
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