新工場完成で次の成長・発展を目指す板金企業
全社一丸で飽くなき改善 ― 高所作業車の中核サプライヤーに成長
新工場・新事務所を開設 ― スペース拡張と機能の明確化で生産能力30%向上
武蔵工業 有限会社
「第2工場」のブランク工程には3台の自動化セルが並ぶ。手前からファイバーレーザマシンVENTIS-3015AJ(4kW)、パンチ・レーザ複合マシンACIES-2515T、ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ(3kW)
新工場・新事務所を開設 ― 生産能力30%向上
小林良輔社長(左)と高柳陽介工場長(右)。新たに開設した「第5工場」のエントランスにて
高所作業車向け板金部品などを手がける武蔵工業㈲は2024年10月、新工場棟「第5工場」を開設した。仕事量の増加に対応し、各工場棟の機能を明確にして整流化をはかるとともに、工場スペースを拡張して生産性を高めた。
これまでは、「第1工場」がステンレス溶接・ファイバーレーザ溶接・研磨・機械加工・出荷、「第2工場」がブランク、「第3工場」が仕分け・曲げ、「第4工場」が鉄系材料の溶接という機能分担だった。このうち、複数の機能が混在していた「第1工場」を出荷業務に特化させ、出荷以外の工程を「第5工場」へ移設した。
「第5工場」は空調完備で温度管理を行えるようになり、従業員の労働環境が劇的に改善。ファイバーレーザ溶接や機械加工、厨房機器部品などのサニタリー製品の製作も支障なく対応できるようになった。「第1工場」の出荷作業も室内で完結でき、作業効率も製品品質も向上した。
「第5工場」の2階には事務所を設け、来客用のミーティングスペースや従業員の交流スペース、50人収容の会議室などを配置。来客対応を意識した機能的で清潔感のあるオフィスとして整備した。顧客とのミーティングや工場見学に加え、以前は貸し会議室を利用していた年2回の全社会議(経営戦略会議)も社内で開催できるようになった。
屋根上には発電容量100kWの自家消費型の太陽光発電システムを設置し、晴天時は工場全体の消費電力の約20%をまかなえる。なお、「第2工場」「第3工場」にも計50kWの太陽光発電システム(売電型)を設置している。
2024年1月に代表取締役に就任した小林良輔社長は「工場建屋の面積は約20%広がり、生産能力は20~30%向上しました。今年の夏は記録的な猛暑でしたが、『第5工場』へ移設した工程は、空調のおかげで作業効率が落ちることもありませんでした。来年の夏までに、ほかの工場建屋にも空調を整備する計画を進めています」と語っている。
2024年10月に開設した「第5工場」。2階が事務所、1階が工場で、ステンレス溶接・ファイバーレーザ溶接・研磨・機械加工の各工程を配置した
食堂兼交流スペース。キッチン付きで社内のイベントでも活躍する
高所作業車の中核サプライヤーに成長
同社は高所作業車部品、トラック車体部品、健康器具パネルなどを主に手がけている。
得意先は計100社以上で、定期的に取引しているのは約30社。売上構成は、主力の高所作業車向け部品が約40%、健康器具パネルが約20%、フェンダーなどのトラック車体部品が約10%、残り30%が厨房機器部品、船舶向け配電盤筐体、特殊車両部品などとなっている。
主力顧客である高所作業車メーカーとは、1980年頃から取引を続けてきた。2012年頃には、大型製缶部品を除く板金部品の外部調達割合を高めるという顧客方針により、主要板金サプライヤーの1社に選ばれた。
顧客からの大幅増産要請に対して、同社は生産管理システムWILLとブランク加工用CAM(Dr.ABE_Blank)の導入による生産手配の合理化、情物一致の“見える化”に取り組むことで対応した。その後も積極的な設備投資で生産体制を強化し、継続的な改善活動を展開することで顧客満足度を高めた。2020年頃には顧客の全サプライヤーの中から主要サプライヤーの1社に選ばれ、顧客とのパートナーシップはいっそう強固になった。
その一方で新規顧客の開拓にも力を注ぎ、バランスの良い安定した事業基盤の構築をはかった。近年では2023年頃から取引が始まった健康器具パネルの仕事が急増し、売上全体の約20%を占めるまでに成長した。
2012年度から2024年度までの12年間で、売上高は約3.8倍になり、従業員数は約2倍に増えた。特に直近3年間の成長は目覚ましく、2023年度は前期比18%増、2024年度は同12%増となり、2025年度も増収増益を見込んでいる。
「2026年度から2030年度までの5年間で売上20%増が中期的な目標です。ここ3年は成長のペースが速すぎて従業員の負担が大きかったので、2026年度以降は年4%前後の成長ペースをキープしたい」と小林社長は語る。
曲げ工程。自動金型交換装置付きベンディングマシンEGB-6020ATCe(手前)など5台のベンディングマシンが並ぶ
第1工場」の出荷工程ではバッテリー搭載の台車にタブレット端末とラベルプリンターを設置し、作業指示書のバーコードを読み込ませて現品票を発行する
会社情報
- 会社名
- 武蔵工業 有限会社
- 代表取締役
- 小林 良輔
- 所在地
- 群馬県伊勢崎市波志江町4734-1
- 電話
- 0270-26-1681
- 設立
- 1970年
- 従業員数
- 41名
- 主要製品
- 高所作業車部品、トラック部品、健康器具パネル、厨房機器部品、受配電盤筐体、産業機械部品、半導体工場設備部品、搬送機器部品など
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