協働ロボットを活用したファイバーレーザ溶接の自動化
スポーツマンらしい決断の早さで工場合理化を進める
ファイバーレーザ溶接+協働ロボットの組み合わせで省力化・品質安定化を実現
精工理化医療電機 株式会社
タブレット端末に搭載された専用ソフトウエアでハンディファイバーレーザ溶接機FLW-1500MTのティーチングを行うインドネシア人の特定技能外国人の女性
創業から85年、溶接技術に定評
杉森康弘八尾工場長(左)と天満克之社長(右)
精工理化医療電機㈱は、1941年に医療検査機器の製造業として創業して以来、一貫してステンレス製の高品質な製品の設計、製造を一筋に事業を展開してきた。
多様化するニーズに対応しながら、常に“Only One”であり、“Number One”な製品を送り出すことを目指し、技術向上、コスト低減に努め、顧客満足度を向上させてきた。また、継続的に設備投資を行い、ニーズオリエンテッドな設計を徹底することで、精密で用途に合った製品づくりを行ってきた。創業以来培ってきた職人技の加工技術とTIG溶接を主体とした高度な溶接技術、品質を保証するための検査体制を確立し、小物部品から大物製缶までを一貫生産する。
半導体・FPD製造装置メーカーとの継続取引
1962年頃からは半導体・FPD製造装置メーカーとの取引が始まった。とりわけ洗浄装置に使用されるタンクに関しては有力なサプライヤーに位置づけられた。
同社の得意先は半導体洗浄装置の世界トップシェア企業。そのため、タンクの品質に対する要求はきびしいが、同社はそれらの要求をクリアして現在までタンク製造の重要サプライヤーとして、機種単位に毎月10~100個のタンクを一貫生産している。またタンク以外の装置カバー、配管ダクトなど月産1~50個という多品種少量のステンレス製板金製品も受注しており、売上の多くが半導体・FPD製造装置関連となっている。
工程別に第7工場までが稼働中
同社は大阪市生野区にあった工場が手狭になったことから、1996年に生産の主力を八尾工場に移転。高精度な金属加工製品の量産・増産体制を確立することで、付加価値および売上の拡大をはかろうと、八尾工場近くの空き工場を借り、第2工場とした。現在では工程別に第7工場までが稼働している。第7工場は新たに5軸制御マシニングセンタ2台を設備した機械加工工場として、稼働を始めたばかりだ。
設備力・加工能力を強化する一方で、会社も地球社会の一員であるという認識から、生産活動全般に関わる環境・品質改善、省エネに積極的に取り組み、地球環境の保全と顧客のニーズに沿った製品を提供することを目指している。社内外に対してSDGs宣言を行い、環境関連の法令、規制、SDGsが提唱する17の目標に基づき、対応可能な範囲で要求事項を順守する取り組みも進めている。
生産活動全般に関わる省エネの取り組みとして、使用電力を2030年までに10%、2050年までに20%削減し、地球環境の保全のみならず、生産活動にともなう品質の継続的改善を目指すと社内外に公表した。事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っている。
平板・パイプ兼用ファイバーレーザマシンENSIS-3015RIe+LSTRI-3015E
ベンディングマシンEGB-6013e
7社の得意先で売上比9割
得意先は約20社で、そのうち毎月定期的に受注する7社で売上の90%以上を占める。使用材料の90%以上がステンレスで、板厚は大半が0.5~5.0㎜となっており、9.0㎜、12.0㎜といった中板もある。アングル材の加工も多い。
2022年に「半導体洗浄装置用タンク増産にともなう地域サプライチェーン強靭化」をテーマに補助金に応募。採択され、2023年5月に9kWのファイバーレーザ発振器を搭載した平板・パイプ兼用ファイバーレーザマシンENSIS-3015RIe+LSTRI-3015Eを、同年10月にはハンディファイバーレーザ溶接機FLW-1500MTを導入した。
ハンディファイバーレーザ溶接機FLW-1500MTと専用協働ロボットCR-700Wによる溶接作業
FLW-MT+CRで溶接した製品
会社情報
- 会社名
- 精工理化医療電機 株式会社
- 代表取締役社長
- 天満 克之
- 本社
- 大阪府大阪市生野区生野東1-12-18
- 八尾工場
- 大阪府八尾市北木の本4-32-3
- 電話
- 06-6731-0237(本社)
072-994-0085(八尾工場)
- 設立
- 1948年(1941年創業)
- 従業員数
- 30名(外国人材も含む)
- 主要製品
- 半導体・FPD製造装置、計測検査装置、その他各種産業装置用金属製品
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