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ファイバーレーザ溶接システム活用事例

ファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSISe導入で生産性が5~10倍に

6kWの高出力とAI-TASによるプログラム補正の利便性が魅力

有限会社 トライテック

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画像:ファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSISe導入で生産性が5~10倍に①ファイバーレーザ溶接システムFLW-6000ENSISeによる溶接作業/②FLW-ENSISeで溶接した製品/③AI-TAS(ティーチング支援システム)の画面。さまざまな継手形状を学習させたAIにより、ロボットプログラムが自動で補正を行う

電気・電子装置、電気通信設備関連を手がける

画像:ファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSISe導入で生産性が5~10倍に左から山藤照彰社長、居倉與三郎さん、濱野優基さん

鉄、ステンレス、アルミなどの薄板精密板金製品の設計・製作を主な業務とする㈲トライテックは、1992年に設立。太陽熱温水器、コントロールボックス、食品・包装機フレーム、防音ボックスなどの仕事から始まり、現在は電気・電子装置部品、電気通信設備関連部品、医療機器、精製水装置、純水装置、精密空調ダクト、チラーユニットなどを手がける。

山藤照彰社長は「お客さまからの『こんなものができないか』『こんなものがほしい』というニーズに合わせて、発注先のオリジナル仕様の製品や板金部品、特注商品の設計・製作の仕事に積極的に取り組んできました。現在ではお客さまの数が40社を超え、毎月20社以上からお仕事をいただいています。業種的には水処理、医療機器、電気・電子機器が売上の30%ずつで、残りが電気通信機器、チラーユニット。ロットは1~2個から100個までの変種変量生産です」。

「迅速な納期、高精度・高品質な仕上がりでお客さまにご満足していただける製品をお届けし、お客さま満足度を向上させる取り組みが当社の仕事です」という。

2012年がターニングポイント

同社は創業後しばらく貸し工場を利用していたが、増産に対応するため2008年に現在地を購入し、建築面積180坪の新工場と60坪のプレハブ建屋を建設、移転した。しかし、リーマンショックにより状況は一変、受注が半減した。きびしい状況の中、同社に仕事を発注していた板金工場の応援を得て、当時の山藤照彰工場長(現社長)を専務に招聘し、事業の立て直しを進めた。

2012年秋ごろからは山藤専務(現社長)が中心となり、得意先の新規開拓に取り組んだ。そこで新たにビル・工場の守衛所やコントロールセンターに設置される制御盤や、製鉄所などのプラント向け高圧配電盤の筐体を受注するようになると同社の売上も伸びていった。筐体のサイズは基本的に高さが2,300㎜、1,950㎜の2種類。幅が800㎜、900㎜、1,000㎜の3種類となる。制御盤などはほぼリピート品で、ロットは20~30台。一方で、高圧配電盤などは新規品が多く、ロットも1~5台と少なかった。

こうした大型筐体は従来、アングルによるフレーム製缶で加工されており、アングルなど形鋼加工用の設備を十分に備えていない同社では対応することはできなかった。しかし、同社がモジュール構造の板金筐体に置き換えることで、フレーム筐体では1週間かかった納期を、半分の3日に短縮できると提案したことで、受注につながった。

画像:ファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSISe導入で生産性が5~10倍に左:ファイバーレーザ複合マシンACIES-2515T-AJ+AS-3015NTK+ULS-3015NTK/右:ベンディングマシンHG-1303(追従装置付き)

設備投資と多能工育成が転機に

増加する新規品の受注に対応するため、2014年には追従装置と曲げ角度センサーBi-S×2軸付きのHG-1303を導入。この時点で工場にはブランク工程にパンチングマシンEMZ-3510NTP+RMP-48M、曲げ工程にHG-1303とHDS-1303NT、溶接工程にYAGレーザ溶接ロボットYLR-1500Ⅱなどがそろい、さまざまな加工に対応していった。

また、ボトルネックのプログラム工程を改善するため、現場の作業者2人に展開・プログラム工程も担当させ、少しずつ操作に慣れてもらうことで、多能工化を進めていった。

「社員十数名で設計から展開・プログラム、抜き、曲げ、溶接、塗装まで一貫対応するには多能工を育成するしかありませんでした」と山藤社長は振り返る。

設備投資と多能工育成で転機をむかえた同社は以後、山藤専務(現社長)が主体となって事業を進めていく。

  • 画像:ファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSISe導入で生産性が5~10倍に治具レスでファイバーレーザ溶接を行った製品
  • 画像:ファイバーレーザ溶接システムFLW-ENSISe導入で生産性が5~10倍にコンクリート(ロード)カッターの誤切断を防ぐプロテクター「BOGO-MAX」の組立作業

会社情報

会社名
有限会社 トライテック
代表取締役社長
山藤 照彰
所在地
広島県広島市安佐北区安佐町久地2854-31
電話
082-810-3818
設立
1992年
従業員数
23名
主要製品
電気・電子装置部品、電気通信設備関連部品、医療機器・純水装置キャビネット、精密空調ダクト、チラーユニット、精密板金製缶加工

つづきは本誌2025年7月号でご購読下さい。

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