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一貫生産で従来よりも「早く」「楽に」「高品質」を実現

親子3代で協力 ― 柔軟性も生かしつつ、盤石な体制を築く

石原工作 株式会社

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画像:一貫生産で従来よりも「早く」「楽に」「高品質」を実現2023年6月に導入したファイバーレーザ複合マシン

プレス金型の設計・製作から始まった

画像:一貫生産で従来よりも「早く」「楽に」「高品質」を実現前列左から石原千津子専務、石原明枝社長、後列左から石原郁也さん、光永浩一郎常務

石原工作㈱は現会長の石原完壽氏が自宅ガレージで個人経営の金型製造をはじめたことからスタートした。1982年には法人設立、その後は部品加工や溶接の分野にも進出した。金型設計・製作から精密板金加工、精密機械加工、レーザ加工、溶接までの幅広い金属加工分野での一貫生産を強みに「鉄が材料の加工品なら何でもお任せ」の企業として、農業機械メーカー、建設機械メーカーを中心に幅広い製造業から部品加工を受注している。

役員5名を除く現在の従業員数は92名。2022年度8月期の売上は10億円超えとなっている。2020年11月に2代目社長に就任した石原明枝さんは石原会長の長女。大阪の専門学校を卒業して21歳で同社に入社してからは、妹の石原千津子専務とともに石原会長を支え、会社を発展させてきた。

農業機械、建設機械、建築金物などを製造

「小学校4年生のころに両親に連れられて初めて『日本国際工作機械見本市』(JIMTOF)に行き、プレス、板金機械、工作機械などを見せてもらいました。当時は会社も小さく、数名の従業員と両親で仕事をしていました。設備も数台のプレスや金型加工設備のみでしたが、いずれは展示されているような最新の機械を使ってみたいと思いました。当社はもともとガレージから始まった工場で、ボール盤による穴あけ作業などを行っていましたが、徐々に仕事を広げてプレス金型の製作を始めるようになり、そのうち設計・製作した金型を使ったプレス加工まで行うようになっていきました」。

「中国・四国には主要な農業機械メーカーの工場がいくつもあり、トラクターなどに使われる機械カバーなどを加工していました。県内に大手自動車メーカーがあるため、同業者の多くは自動車部品関連の仕事をしていましたが、当社は5年前に自動車関連から完全撤退。農業機械を中心に建設機械、建築金物類の仕事をこなしています」。

「私は専門学校を卒業後に入社し、経営と現場の両方を学びました。結婚して4人の子どもに恵まれ、仕事に育児にと大変な時期もありましたが、本格的にものづくりを学ぶため現場に入り作業の流れを頭に叩き込みつつ、会長について経営者としての姿勢・手法を学びました」(石原社長)。

  • 画像:一貫生産で従来よりも「早く」「楽に」「高品質」を実現自動金型交換装置を装備したベンディングマシンHG-1003ATC
  • 画像:一貫生産で従来よりも「早く」「楽に」「高品質」を実現第2工場の溶接ロボットライン

プレス加工から板金加工へ

プレス加工による量産の仕事は徐々に海外へシフトしていった。メーカーも新興国市場を開拓するため現地に工場進出し、一部では現地生産された部品が逆輸入し、日本に入ってくるようになった。同社で加工する農業機械関連の部品も同様にきびしい市場環境になっていった。

きびしさを増していく中、同社の売上も次第に下振れしていった。業績回復について検討するうちに、石原社長(当時は副社長)は、「会社に新しい風を吹かすためには社長交代も必要」と考えるようになった。そこで、2019年に製造部長として入社してもらった光永浩一郎氏(2022年より常務)に経営全般の相談に乗ってもらいながら、検討を進めていった。そして、2020年11月に石原明枝社長、石原千津子専務が誕生。石原社長が総務・人事・財務会計・製造を、石原専務が営業を、光永常務が製造を担当するようになった。

「業績が悪化して取引する金融機関からもきびしい目で見られていました。しかし、下がったところでのバトンタッチだからこそ、あとは上がっていくだけという前向きな気持ちで、経営に取り組んでいきました」。

「その中で唯一の光明が12年前に導入したレーザマシンの活躍でした。受注ロットが減る中で、プレス金型を新たに設計・製作するよりも、金型レスで非接触加工ができるレーザマシンを導入して変種変量生産に対応しようと考えました。生産総量のロットが1,000個を超える製品は金型で、それ以下のロットはレーザ加工で対応するようになりました。金型加工にはワイヤ放電加工機を使っていたので加工データの作成もさほど苦もなくできました。加工スピードも速く、見学に来られた得意先の設計担当者からもレーザ加工の性能を高く評価され、その後の図面にはわざわざ『レーザ加工』と指示が入るようになりました」。

「しかし、長年使っているとマシンも経年劣化してきます。故障で機械が止まれば、後工程を含め大ごとになります。急な故障にも対応するため、代替え機となる2台目のレーザマシンの導入を考えるようになりました。そんな時期に社長交代が重なり、『事業再構築補助金』を活用した2台目のレーザマシンの導入を考えました」と石原社長は説明する。

  • 画像:一貫生産で従来よりも「早く」「楽に」「高品質」を実現単発や順送プレスが並ぶプレス工程
  • 画像:一貫生産で従来よりも「早く」「楽に」「高品質」を実現NC旋盤・マシニングセンタが稼働する機械加工工程

会社情報

会社名
石原工作 株式会社
代表取締役社長
石原 明枝
所在地
広島県府中市久佐町36-1
電話
0847-49-0246
設立
1982年
従業員数
97名(役員含む)
主要事業
プレス金型設計製作、レーザ加工(2次元・3次元)、プレス加工、溶接、機械加工、トライアル・検査
URL
https://ishiharakousaku.com/

つづきは本誌2024年6月号でご購読下さい。

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