特集

ファイバーレーザ溶接ロボットへの期待と効果

溶接作業の自動化・スキルレス化を目指す

オペレータは入社2年目の若手社員 ― 「ロボットを操るのは楽しい」

株式会社 三洋工事

LINEで送る
Pocket

画像:溶接作業の自動化・スキルレス化を目指す①パーテーション内にFLW-3000ENSISのシステム一式が格納されている/②ポジショナーテーブル(手前)と3D定盤(奥)が並ぶ/③FLW-ENSISのティーチング作業を行う入社2年目の入江遼星さん

工事業から板金加工業へ事業転換 ― 積極投資と新規開拓で発展

画像:溶接作業の自動化・スキルレス化を目指す中塚智哉社長

㈱三洋工事は、1973年に個人会社として創業し、高炉メーカーの保守工事を業務としていた。しかし、「鉄冷え」で高炉メーカーが低迷する中、同社の業績も落ち込んだ。従業員の雇用を守るため中塚政則氏が社長となり、1981年に㈲三洋工事を設立。製造業へと事業転換し、経営の多角化をはかった。

最初はアイアンワーカーIW-45、厚板用コーナーシャーCSHW-220と自動プログラミング装置AMACOMを導入した。AMACOMは将来を見据え、機械化・自動化に向けてNCマシンの勉強をする目的もあった。

板金加工は初めての社員ばかりで、当初は返品も多く、板金事業単独としては2年半ほど赤字だった。しかし、高炉の保守工事が継続されたことにより経営が支えられ、持ちこたえることができた。この期間に板金加工の基礎からしっかりと学び、高品質な製品をつくるための基礎技術を確立することができた。

その後は最新設備を導入するとともに新規得意先の開拓を積極的に行い、発展を続けた。その結果、今ではエスカレーター、精密機械、半導体製造装置、鉄道車両、産業機械、特殊車両、搬送装置、建設機械など幅広い業種から仕事を受注できるようになった。

事業の拡大にともない工場を増設していき、1988年に第1工場、1989年に第2工場を新設した。1999年には現在地に新工場を開設し、2つの工場を統合して本社工場とした。その後は最新のパンチングマシン、レーザマシン、ベンディングマシンなどを逐次導入し、ネットワーク化を進めていった。2008年には生産管理システムAPC21を導入し、板金加工のデジタル化を進めた。

入社10年目で3代目社長に就任

2009年に中塚智哉社長が入社した。中塚社長は、父である中塚政則氏も通った商業高校を卒業した後、専門学校で簿記・会計を学び、姫路市内の企業に勤め、経理の仕事に携わった。事業承継について父親から直接話があったわけではないが、「いつかは自分が引き継がねばならない」という思いは常にあり、リーマンショックが発生したタイミングで入社を決断した。

中塚政則氏は、任期10年に限って2代目社長を指名し、10年後の2019年に中塚智哉氏を3代目社長とすることを決めてリタイアした。

中塚社長は入社後、バリ取り作業などの補助的な仕事を手伝いながら、板金工程の流れを学んだ。その後、導入して間もない生産管理システムAPC21を活用した生産管理システムの構築や営業の仕事を経験し、ものづくりプロセスの全体を把握していった。そして2019年、取り決めどおり、3代目社長に就任した。

  • 画像:溶接作業の自動化・スキルレス化を目指すファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ(2棚・テイクアウトローダー仕様)
  • 画像:溶接作業の自動化・スキルレス化を目指すベンディングロボットシステムHG-1003ARsによる曲げ加工

業種・得意先はさまざま ― 売上構成比10~15%の得意先が5社

中塚社長は同社の事業内容について、次のように語っている。

「もともと特定のお客さまに限定して事業を広げてきたわけではなく、さまざまな業種・業態のお客さまと取引してきました。当初からお世話になっているお客さまに関しては、かなりの割合を占めていた時期もありました。しかし、需要が一巡すると仕事量も減少し、他方では新規開拓に取り組んできたことから、そのお客さまの売上構成比は今では10~15%で落ち着いています」。

「営業代行企業とも提携して新規開拓を積極的に進めてきました。現在のお客さまの数は30社ほど。売上構成比10%超えのお客さまが5社ほどあり、売上全体の60~70%を占めています」。

  • 画像:溶接作業の自動化・スキルレス化を目指す乾燥炉別体型塗装設備
  • 画像:溶接作業の自動化・スキルレス化を目指す工程ごとに大型モニターが設置され、進捗状況を確認できる

会社情報

会社名
株式会社 三洋工事
代表取締役
中塚 智哉
所在地
兵庫県揖保郡太子町松ケ下184
電話
079-277-5505
設立
1981年(1973年創業)
従業員数
58名(パート社員、外国人技能実習生を含む)
主要製品
昇降機部品、特殊車両部品、工作機械カバー、建設機械部品、産業用機械カバー、各種部品加工
URL
https://www.sanyo-koji.com/

つづきは本誌2022年12月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから