板金論壇

日本の科学技術研究の現状に危機感を抱く

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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2018~2020年の上位引用論文数で日本は10位以内から脱落

文部科学省の科学技術・学術政策研究所がまとめた「科学技術指標2020」によると、2018~2020年の日本の論文数(分数カウント法)は世界第4位から第5位に、注目度の高い論文数のうちTop10%補正論文数は第10位から第12位に、注目度が最も高いTop1%補正論文数は第9位から第10位に順位を落とした。

科学技術・学術政策研究所は毎年、研究レベルの目安となる論文数について、国・地域別に3年分の年平均数と順位を算出し、公表している。「科学研究力」を評価するときは「量的観点」と「質的観点」の両面が求められる。そのため、「量的観点」として「論文数」を、「質的観点」としてほかの論文から引用される回数が多い論文数 ― すなわち「Top10%補正論文数」と「Top1%補正論文数」を用いて評価している。

今回の公表結果によると、2018~2020年の年平均引用数を調べた結果、ほかの論文に引用された回数が各分野で上位10%に入る質の高い論文の数(Top10%補正論文数)は日本が3,780本で、前年の10位から12位に後退した。首位の中国の4万6,352本とは10倍以上の差で、韓国にも追い抜かれた。日本は1980年代なかばまでは米国・英国・ドイツに次ぐ4位だったが、それ以降は順位を下げ続けている。

日本は、注目度の高い科学論文数の順位を下げていることになり、このことは小誌10月号で東京農工大学の堤正臣名誉教授も指摘されている。

分野別では、日本が元来強かった「基礎生命科学」「化学」「物理学」の割合が減り、「臨床医学」の割合が増加している。論文の総数では日本はここ数年微増となっているが、順位は前年の4位から5位に後退している。

つづきは本誌2022年11月号でご購読下さい。

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