生産性改善に取り組む台湾板金業界
ハイスペックな製品を受注
設備力・技術力強化にENSIS-AJ導入
富專鋼鐡有限公司 (FU ZHUAN)
①ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ(3kW)/②ENSIS-AJで加工した両面保護シートが貼られたステンレス材から加工された部材を使って組み立てられた半導体製造装置の筺体
半導体・電子部品製造装置で50%超え
中央が張添發董事長、向かって右側が夫人の簡秀華総経理、左側が子息の張逸群総経理特助
1990年、張添發董事長は29歳で鋼材販売会社「富喬鋼鐡」を創業。やがて価格競争が激化してきたため、もっと付加価値を生む製造業を目指し、2003年にアマダ製ベンディングマシンRG-80を、2007年にレーザマシンFO-3015NTを導入して板金加工業に事業転換。富専鋼鐡有限公司として法人化、夫人の簡秀華総経理との二人三脚で社業の発展に努力した。
今では大手半導体製造装置メーカー向けの設備関連の仕事が増え、半分以上を半導体製造装置や電子部品の製造装置などのハイスペックな精密板金製品が占める。売上も前年に比べ2ケタで伸びている。
夏以降は中国向けの装置の輸出に陰りが出始めてはいるが、国際半導体製造装置材料協会(SEMI)が先ごろ発表した見通しにもあるように、2018年の台湾の半導体生産額は、前年比6%増の2兆6,100億台湾元(約9兆4,000億円)が見込まれており、2021年には3兆台湾元を超えるといわれている。「スーパーサイクルがしばらく続く」と予測されることから、張董事長は設備力・技術力・従業員スキルの向上を進め、「ハイスペックな製品の受注を増やしたい」と、さらなる事業の発展を目指している。
パイプ・形鋼の加工もできるロータリーインデックス装置(RI)を装備したFO-MⅡ RI3015(4kW)
FO-MⅡ RIで加工された角パイプを使って溶接組立途中の装置フレーム
親子3人の集団指導経営
張董事長は現在57歳。夫人の簡秀華総経理と、2年前に入社した子息の張逸群総経理特助との3人で、集団指導体制の特徴ある企業体質を構築している。設立当時は苦労したがアマダ台湾から板金経験者の紹介を得、その後も中途採用しながら従業員のスキルアップに努めてきた。
また、インドネシア人の技能実習生に溶接技術を教え、活力とした。今では技能実習生のなかにも技術指導を行えるほどのスキルを身につけた人材が育っている。
60名の従業員のうち、15名が技能実習生として働いている。台湾では、外国人技能実習生の雇用は、台湾人5に対し技能実習生1の割合まで認められている。その割合を超える場合も、ひとりあたり一定の金額を政府に納付すれば認められるため、同社も技能実習生の割合が高くなっている。
左:新たに導入されたHG-2204/右:電子部品製造装置に使われるチタン製の部材は通り精度がきびしく、この加工に対応するためにベンディングマシンHG-2204を導入した
会社情報
- 会社名
- 富專鋼鐡有限公司
- 董事長
- 張添發
- 住所
- 台湾・桃園市大園區中正東路一段840巷99號
- 電話
- +886-3-3810095
- 設立
- 1990年
- 従業員数
- 60名
- 主要製品
- 半導体製造装置関連、鉄道車両関連製品、食品機械カバー、各種筐体、機械カバーなど
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