第29回優秀板金製品技能フェア
経済産業大臣賞に続き、厚生労働大臣賞を連続受賞
「人の力でどんな加工ができるか」にチャレンジ
ナサ工業 株式会社
第29回優秀板金製品技能フェアで厚生労働大臣賞を受賞した「FLAT-PANEL-CHAIR」(W510×D600×H370㎜、SUS304 2B・板厚2.0㎜)
モノづくりの楽しみを思い出す
第29回優秀板金製品技能フェア(以下、板金フェア)で、前回(第28回)経済産業大臣賞を受賞したナサ工業㈱が厚生労働大臣賞を受賞した。2年連続での大臣賞受賞の喜びを、長澤貢多社長は次のように語っている。
「当社にはモノづくりに楽しみを感じて入社する人が多い。しかし日々の業務に追われ、その初心から遠ざかることもあります。年に1度の板金フェアにチャレンジすることで『モノづくりの楽しみを、皆が思い出せるイベントにしよう』と考え、参加するようになりました。3年半ほど前、『「一塊」となり「上質を追求」する』という経営理念を定め、日本一の中小企業になることを目標に掲げました。板金フェアへのチャレンジも、製造だけでなく総務や営業も参加して上位入賞を目指す全社的な取り組みにしました。その結果、前回は『スケルトンエスカレーター』で経済産業大臣賞を、今回は『FLAT- PANEL-CHAIR』で厚生労働大臣賞を受賞しました。2年連続で大臣賞を受賞でき、感激しています」。
「FLAT- PANEL-CHAIR」に座る長澤貢多社長(中央)。左から福島正貴さん、藤井孔助さん、小宮祐敦さん、小島英二さん、松若麻依さん、山内拓也さん、山中暢さん
曲げ加工を行う前の「FLAT-PANEL-CHAIR」。SUS304・板厚2.0㎜の素材にレーザ加工でスリットを入れ、電解研磨で仕上げられている
理念経営をキックオフ
2006年に2代目社長に就任した長澤社長は、就任直後から経営理念の必要性を痛感し、2007年に企業理念を制定。その後も「使える理念」として発展させていき、理念体系を「理念BOOK」という冊子にまとめ、社員1人ひとりに配布した。会社の明確な方向性を示したことで、理念が浸透していった。
2010年には「モノづくりの楽しさを思い出し初心にかえる」を目標に、板金フェアに挑戦。2012年の第25回板金フェアでは「単体品の部」に出展した「壺」が金賞を受賞した。
九州地域には同社も加盟する九州シートメタル工業会があり、会員企業は板金フェアに積極的に参加、九州地区で各賞を総なめにするなど加工技術のレベルの高さをアピールしてきた。第25回板金フェアで同社が金賞を受賞した時、ともに他の賞を受賞した九州の同業3社が、第26回と第27回で、厚生労働大臣賞と経済産業大臣賞を次々と受賞。同社は仲間の活躍をばねとし、前回(第28回)は経済産業大臣賞を、今回は厚生労働大臣賞を受賞した。
左:営業部から参加した「チーム極」のメンバーが実演を行う/中央:体重をかけ人の手で押し曲げると、「FLAT-PANEL-CHAIR」の形状に近づいていく/右:体重135㎏の社員が座っても壊れることはない
会社情報
- 会社名
- ナサ工業 株式会社
- 代表取締役
- 長澤 貢多
- 住所
- 福岡県糟屋郡須恵町大字佐谷1323-1
- 電話
- 092-932-1126
- 設立
- 1974年(1969年創業)
- 従業員数
- 90名
- 主要事業
- バイオ・医療機器部品、車両部品、OA・FA機器などのケース、各種制御盤、配電盤設計・製作、エスカレーター外装工事、昇降機関係部品、ステンレス・アルミケーブルダクト、その他電機工事金物各種、メラミン焼付・粉体塗装、シルク印刷、サイン・建築金物など
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