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不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”

食品・医療・半導体などのステンレス加工が受注の70%

株式会社 京伸

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画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”ファイバーレーザ溶接システムFLW-3000ENSISによる食品機械の溶接

34歳で会社を創業

画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”古川治樹社長(左)と辻本奨専務(右)

㈱京伸を創業した古川治樹社長は、大学在学中、学業を学ぶより製造現場で働いてみたいという思いから大学を中退し、20歳で門真市内の板金工場に入社した。板金加工によるものづくりのさまざまな経験を積み、30歳になる頃には工場長として製造全般を任されるまでになった。次第に一国一城の主として自分の工場を持つことを考えるようになったが、開業資金がない。試行錯誤の末、34歳になった2008年2月に㈱京伸を創業した。

古川社長は「開業するなら、最低でもレーザマシンとベンディングマシン、溶接機は必要になります。レーザマシンを新規に購入するには4,000万~5,000万円が必要ですが、その資金のめどが立ちませんでした。与信がないので銀行借り入れも難しい。そんな状況の中で相談に乗ってくれたのがアマダの営業マンでした」。

「割賦販売を利用すれば簡単な審査でレーザマシンを購入できることがわかり、LC-1212αを導入。ベンディングマシンは中古で、溶接機は自己資金で購入して、最低限の設備は手配できました。工場は門真市内で建坪20坪の貸工場を借り、両親と知人も協力してくれて、4人で始めることができました」という。

開業にあたって譲れない3つのこと

「開業にあたっては、まず会社を“法人化”し、会社の“ロゴマーク”を作成、営業マンの代わりとして“Webサイト”を立ち上げました。周りからは『良い格好するのは会社が大きくなってからでも遅くない』『ロゴで飯を食えるわけじゃない』などと苦言をいただきましたが、この3つはどうしても譲れませんでした」と古川社長は振り返る。

結果的に、この決断が同社の発展に大きく貢献。SEO対策も万全で、関西で『大阪 板金加工』とキーワード検索をすると、同社のWebサイトがトップに表示される。

「開業したての頃は、約50%がWebサイトから受注した仕事でした。今でも新しい設備を導入したことをWebサイトにアップすると、すぐに問い合わせや引合いをいただきます。当社にとってWebサイトは最高の営業マンです」(古川社長)。

  • 画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”ファイバーレーザマシンVENTIS-3015AJ+LST-3015G
  • 画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”平板・パイプ・形鋼兼用レーザマシンFO-MⅡ RI3015+LSTRI-3015

2年でレーザマシン2台体制に

2008年9月にリーマンショックが起こり、創業して間もない同社も一時的に影響を受けたが、家族社員が中心だったこともあり、短期間で回復することができた。京都の板金加工企業から仕事をまわしてもらい、一時期は売上全体の70%を占めた。ブランクから曲げ、溶接まで一通りの板金加工ができるため、同業者からオーバーフローした仕事をまわしてもらいながら、得意先を増やしていった。

2年目になると工場が手狭になり、ちかくに第2工場を借りた。しかし、そこも数カ月で手狭になり、2010年には門真市内の100坪の貸工場に移転した。移転に合わせてLC-3015F1NTを導入し、レーザマシン2台体制にした。LC-αはテーブル固定型のため、材料をクランプするためにデッドゾーンができ、材料歩留りが悪かったため、LC-F1NTを導入して能力増強をはかった。

再び工場が手狭になったため、2014年12月には門真市岸和田にあった300坪の貸工場に移転、その際にYAGレーザ溶接ロボットYLR-1500Ⅲを導入した。岸和田の貸工場に移転した時点で従業員数は30名ちかくまで増え、得意先の口座数も150社程度まで増加、定期的に受注する得意先は50社ほどになっていた。

この当時から売上構成比が2ケタになるような得意先を持つことを避け、リスク分散を心がけている。

画像:不可能を可能にする“速さ”と“たしかさ”左:鉄道車両の座席シート下の板金製品/右:受注から製造指示・発注入荷・納品請求までを一元管理できる統合生産管理システム

会社情報

会社名
株式会社 京伸
代表取締役
古川 治樹
所在地
大阪府大東市御領3-12-57
電話
072-889-5788
設立
2008年
従業員数
50名
主要事業
一般板金加工・精密板金加工・試作・フレーム製品・製缶・オリジナル商品
URL
https://www.f-kyo-shin.co.jp/

つづきは本誌2022年8月号でご購読下さい。

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