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【特集3】 FLW-ENSIS

「ファイバーレーザ溶接するとどうなるか」を最初に考え、工程設計する

株式会社 佐藤製作所

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画像:「ファイバーレーザ溶接するとどうなるか」を最初に考え、工程設計するファイバーレーザ溶接システムFLW- 6000 ENSISによる加工の様子。新機能である「プッシュプルフィラー機構」を活用することで従来のレーザ溶接では難し
かった肉盛りの断続溶接を安定して行うことができる

板金業界の「よろず業」として成長

画像:「ファイバーレーザ溶接するとどうなるか」を最初に考え、工程設計する左から佐藤尚社長、佐藤勇二会長、佐藤豊専務

㈱佐藤製作所は1961年、20歳になった佐藤勇二会長が創業した。1971年に横浜市鶴見区内に本社工場を移転。1984年に株式改組し、佐藤会長の故郷である新潟県北蒲原郡中条町(現・胎内市)に土地を購入し、新潟工場を開設した。

「信じるところに道は開ける。どんな夢でも実現できる可能性はある。不可能を可能にし、未来を切り開く人間の力は決して『否定する』ところからは生まれない」という強い信念とたしかな技術力で、同社はあらゆる挑戦を行ってきた。そして社会のニーズに組織的に対応できる企業として、技術水準と生産効率の向上を目標に掲げ、板金業界における「よろず業」として実力を身につけてきた。

「良い製品が次の仕事を生む」

佐藤会長は「品質は人の質にあり」との考えで、最新の設備と匠の技術を融合させるため、人材育成に注力してきた。その結果、職業訓練指導員免許を持つ佐藤会長をはじめ、工場板金技能士1級が5名、2級が10名、ステンレスやアルミの溶接資格保持者が20名以上となっている。

「いくら最新の設備があっても、それを使う人間のレベルが低ければ宝の持ち腐れになってしまいます。良い製品をつくるには、やはり匠の力が必要です。能力第一主義の社風に耐え、努力してくれた社員のおかげで今日の当社があります」と、佐藤会長は社員たちを称えている。

専門の営業部門を持たない同社では、手がけた製品の一つひとつが「セールスマン」としての役割を担っており、製品をつくる従業員たちはある意味、営業活動を行っているともいえる。「良い製品が次の仕事を生む」という考えのもと、現場の作業者も得意先へのサービスを行う「営業マン」としての自覚を持ち、製品一つひとつを丁寧につくり上げている。

  • 画像:「ファイバーレーザ溶接するとどうなるか」を最初に考え、工程設計するティーチングペンダントを使ってファイバーレーザ溶接システムFLW-6000ENSISのティーチング作業をする小林康行さん
  • 画像:「ファイバーレーザ溶接するとどうなるか」を最初に考え、工程設計する簡易切断トーチに交換すると簡単な条件変更で切断加工が可能となり、立体形状への追加工や急な設計変更にも対応できる

溶接工数増大にともないFLWを導入

抜きから溶接・組立までの作業を一貫して行っていくうえで溶接工程は特に重要で、溶接の資格取得を奨励しながら人材を育成してきた。2014年には溶接工数が増大するなか、佐藤会長がリードするかたちでアマダのファイバーレーザ溶接システムFLW-4000を導入した。

ファイバーレーザ溶接は、半自動溶接と比較すると熱影響が小さく、ひずみも極めて少ない。また、レーザビームのエネルギー密度が高いため、縦方向に溶け込みの深い溶接ができる。ファイバーレーザでは高出力のCW溶接が可能で、溶接ビードは連続で滑らかになり溶接品質が向上する。さらに、高反射材であるアルミ・銅・真鍮なども溶接でき、異種材(SUS+銅、SPC+真鍮など)にも対応する。

佐藤会長はリリースされたときからFLW-4000に注目していた。FLW用CAMを活用すれば面倒なティーチング作業を軽減でき、オフラインプログラムでロボットを稼働させることもできる。非鉄金属の溶接や気密性の高いなめらかな溶接が可能になり、仕上げ作業も大幅に軽減できると考えた。

画像:「ファイバーレーザ溶接するとどうなるか」を最初に考え、工程設計する左:SUS304・板厚6㎜のフィラー溶接サンプル/右:アルミ・板厚2.0㎜の窓枠

会社情報

会社名
株式会社 佐藤製作所
代表取締役会長
佐藤 勇二
代表取締役社長
佐藤 尚
本社工場
神奈川県横浜市鶴見区駒岡2-5-8
新潟工場
新潟県胎内市高畑591-2
電話
045-573-1751(本社工場)
0254-45-2323(新潟工場)
設立
1965年(1961年創業)
従業員数
46名
主要事業
精密板金加工・非鉄金属加工・筐体フレーム加工・装置物組立・レーザ加工(鉄道車両部品・制御盤・照明器具・航空機部品・医療機器・半導体装置)
URL
http://www.satou-ss.co.jp/

つづきは本誌2021年9月号でご購読下さい。

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