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コロナ下でも安定成長する食品機械と板金加工

「内食」「中食」の需要拡大により、安定成長が期待される食品機械

外食・中食・内食 ― それぞれ明暗が分かれる

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画像:「内食」「中食」の需要拡大により、安定成長が期待される食品機械グラフ1:2020年1-6月の食料支出の傾向

厨房機器業界はしばらくきびしい状況が続く

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大の影響でテレワークや巣ごもりが進むなど、生活様式が大きく変化してきている。こうした変化は「食」の分野にも大きな影響をおよぼしている。

中でも深刻なのが「外食」産業 ― 飲食店への影響だ。政府・自治体の緊急事態宣言や営業時間短縮要請などにより、業績が大幅に落ち込んだ。

日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査 結果報告」によると、4月の外食全体の売上は前年同月比△39.6%と、調査開始以来最大の下げ幅となっている。5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されてからは回復の兆しが見られたが、7月なかば以降の第2波や西日本を中心とした長雨などが客足に影響し、飲食業界は再び苦境に立たされている。

厨房機器業界は、こうした外食産業の影響を直接的に受けている。

大手厨房機器メーカー各社の業績を見ると、㈱マルゼンの3-5月期の売上高は109億4,900万円(前年同期比△19.0%)、㈱フジマックの4-6月期の売上高(連結)は67億4,500万円(同△19.7%)、ホシザキ㈱の4-6月期の売上高(連結)は485億1,000万円(同△34.1%)となった。ホシザキは2020年12月期(通期)の売上高(連結)を前期比△21.0%の2,300億円と予想。小林靖浩社長は売上について、「7-9月期が前年同期比で約7割、10-12月期は約8割の水準を見込む」とし、徐々に回復に向かうものの低迷が続くとの見方を示した。

コロナ禍の影響で「内食」「中食」需要が拡大

「外食」とは対照的に大幅に伸びているのが、「巣ごもり消費」の代表格である「内食」(家庭内調理)と「中食」(惣菜・弁当など)の需要だ。

総務省の家計調査(全国・2人以上の世帯)によると、2020年上期(1-6月)の食料支出のうち、「内食」の消費を示す穀類(米・パスタ・麺類など)や肉類、乳卵類、野菜・海藻などの生鮮食品、油脂・調味料は前年同期比2ケタ前後の伸びを示している。酒類は同16.0%増と大幅に伸びた。「中食」を示す調理食品は+3.7%だった(グラフ1)

4~5月には長期保存が可能な穀類やインスタント食品などの買いだめ需要が生じ、小売店での品薄が社会問題化した。「内食」の機会が増え、生鮮品、保存性の高い食品、調理が簡便なカット野菜などの需要が高まった。食材とレシピがセットとなった宅配料理キット(ミールキット)や冷凍食品の利用も増加している。「中食」は、イベントの中止などによる需要低下と「巣ごもり消費」による需要増加がせめぎ合いながらも、堅調に推移している。

㈱KSP-SPによると2020年1〜7月累計での冷凍食品合計の販売金額は前年比+9.2%となっている。特に休校要請、外出自粛要請、緊急事態宣言などが出された2〜5月の伸びが顕著で、2月は前年同月比+11.4%、3月は+19.7%、4月は+19.3%、5月は+9.9%となった。

つづきは本誌2020年10月号でご購読下さい。

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