Forum

「HG-ATCフォーラム」 ― パネルディスカッション

「金型段取りの自動化」は人手不足・働き方改革への対応に不可欠

多品種少量・複雑形状の高効率安定加工を実現/省熟化により目に見えない教育コストの低減にも貢献

LINEで送る
Pocket

アマダは2019年11月30日、アマダ・ソリューションセンター(神奈川県伊勢原市)で、「HG-ATCフォーラム」を開催した。自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-ATCを活用している板金企業4社をパネリストとして招き、パネルディスカッションを行った。

パネリストは、㈱フジサキ(愛媛県伊予市)・藤崎文吾社長田中産業㈱(静岡県三島市)・田中公典社長㈱内田製作所(神奈川県厚木市)・内田健一郎社長㈱佐藤電機製作所(工場:山梨県山梨市)・佐藤薫宏常務の4人。司会・進行は小誌編集主幹の石川紀夫(マシニスト出版㈱・代表取締役)が務めた。

聴講者は、HG-ATCの導入を検討している企業を中心に56社・95名となった。パネルディスカッション終了後は活発な質疑応答が行われた。

以下、パネルディスカッションと質疑応答の内容を一部紹介する。

画像:「金型段取りの自動化」は人手不足・働き方改革への対応に不可欠

ベテラン作業者が退職 ― 省熟効果に期待

― まず、HG-ATC導入に至る背景として、曲げ工程にどのような課題があったか、うかがっていきます。

㈱フジサキ・藤崎文吾社長(以下、姓のみ) 私が12年かけて育て、RGでバリバリ曲げ加工していた社員が、3年ちょっと前に退職してしまいました。私が代わりをできるような状況ではなかったので、即戦力で、退職した社員と同じレベルの曲げ加工ができる社員を確保する必要がありました。

しかし、曲げ作業は段取りが難しい。当社では金型選定、金型レイアウト、曲げ順序まですべて現場の職人に任せていました。特殊な曲げ加工も多く、新しい人にすべてを伝えるには多くの時間がかかります。

HG-ATCは、そうした課題を解決でき、経験の浅い社員でも曲げ加工ができるようになると考えました。CAMもしっかりしていたので、すぐに成果が出るだろうと思いました。実際、ほかの社員―金属の材料や表面処理のことがある程度わかっている社員がHG-ATCで加工できるようになるまで1カ月かかりませんでした。今は、パンチ・レーザ複合マシンLC-C1NTのオペレータが、ブランク加工中の待ち時間にHG-ATCで曲げ加工を行っています。

外国人労働者の早期戦力化に対応

田中産業㈱・田中公典社長(以下、姓のみ) 当社も基本的には同じような事情でした。日本人の職人を募集してもなかなか集まりません。そうした中で、どうすれば工場を止めずに動かせるかと、以前からいろいろ検討してきました。

その結果、当社は社員63名のうち半数以上がベトナム人となっています。数年で帰国してしまう技能実習生ではなく、エンジニアとして日本人と同じ待遇で雇用しています。

ベトナム人の社員に曲げ加工を教えるには、スキルが必要な金型段取りを自動化できるHG-ATCが適していると考えました。NC端末(AMNC 3i)の画面は、曲げ形状や曲げ順序の表示がわかりやすい。実際、1カ月もかからずにベトナム人の社員がHG-ATCの操作を習得してくれました。

― 曲げの稼働率や生産性に対する課題もありましたか。

田中 ベンディングマシンの稼働実績を見てみると、実加工をしているのは8時間のうち30%あれば良いほうでした。曲げ工程がどの段階で価値を生み出すかといえば、やはり実際に曲げているとき。HG-ATCは、たとえば作業者がトイレへ行っている間に次の段取りが終わって、戻った瞬間に曲げられる―これは非常に効率的だと考えました。

また、2018年に複合マシンをEMLからACIES-AJに更新したことで、ブランク工程の生産性が3倍以上改善しました。通常なら曲げ工程で滞留が発生してしまうところですが、HG-ATCを活用することで小ロット製品の対応が改善されたため、ボトルネックにはなりませんでした。できればもう1~2台、HG-ATCがほしいというのが本音です。

全文掲載PDFはこちら全文掲載PDFはこちら

つづきは本誌2020年3月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Forum記事一覧はこちらから