板金論壇

宇宙空間利用とレーザ技術を考える

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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トランプ大統領が指示した「宇宙軍」創設

日本では大きな話題にならなかったが、米国・トランプ大統領は2月19日、宇宙空間の軍事活動に専従する「宇宙軍」の創設に向け、法案を作成するよう国防総省に指示した。空軍や海軍などに続く6番目の軍を設け、宇宙での軍事活動を強化している中国やロシアに対抗する狙いだという。

そもそも「宇宙軍」創設は1983年に当時のレーガン大統領が打ち出した、戦略防衛構想(SDI)に発端がある。SDIは、Strategic Defense Initiativeの略で別名「スターウォーズ計画」とも呼ばれた。米国本土へ向けて飛来する仮想敵国の弾道ミサイルを、ミサイルやレールガン(電磁投射砲)、レーザなどを搭載した人工衛星の攻撃によって迎撃・破壊するために宇宙に防衛網を広げるというものであった。しかし、その実現には技術的な困難性とともに、莫大な費用がかかることから計画は進まなかった。

その後、米ソ冷戦が終焉、現実性がなくなり米国政府は1993年には計画を放棄した。計画は頓挫したが、レーザ攻撃兵器の研究は米国をはじめロシア、中国、イスラエルなどで続けられた。

レーザ兵器研究で中国が台頭

1964年頃からレーザ兵器の開発を進めていた中国では固体レーザ兵器の実用化で大きな進展を見せている。

専門家の間では、遠距離レーザ・レーダ(光検出と測距)を備えた長距離高性能攻撃型レーザ砲の開発に成功しているといわれている。衛星攻撃用ミサイルやキラー衛星とは別に、地上基地から強力なレーザビームを衛星に照射して機能を奪う攻撃用レーザ砲で、従来の航空機や戦車、艦船に搭載された戦術的レーザ兵器とは異なる戦略兵器という。高輝度・高出力レーザビームの巨大なエネルギーを利用する攻撃型レーザ砲で敵航空機、ミサイル、衛星および人員などの目標を破壊あるいは殺傷する高度な技術をともなう新しい兵器といわれている。

つづきは本誌2019年6月号でご購読下さい。

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