Sheet now

合い言葉は「炭焼きは地球を救う」

夫唱婦随で完成した自社商品「炭焼き達人」

株式会社 テサキ製作所

LINEで送る
Pocket

画像:合い言葉は「炭焼きは地球を救う」まざまな素材を炭化する実験も行っている。写真にあるのはパイナップルやトウモロコシ、栗など

デザインとテクノロジーの融合

画像:合い言葉は「炭焼きは地球を救う」手崎貴之社長(左)と手崎聖子専務(右)

生駒山の麓に広がる東大阪市は、日本有数のモノづくりの街として有名だ。1983年頃には約1万社の町工場があり、伸線・ネジ・作業工具・鋳物・板金・電気製品・プラスチックと、各種産業に欠かせない部品を手がける町工場が軒を連ねていた。現在では、自主廃業などにより6,000社ほどに減少してしまった。それでも、事業所密度が高く、基盤技術が集積している地域特性から、多種多様な製品が生産され、「歯ブラシからロケットまで」何でもつくれる東大阪と国内外から高い評価を得ている。2011年には、そんな東大阪の工場の“おっちゃん”たちの知恵と技でつくり上げられた人工衛星「まいど1号」が打ち上げられ、大変な話題になった。

また、東大阪には高校ラグビーの聖地・花園ラグビー場があり、「ラグビーのまち」としても有名。2019年9月のラグビーワールドカップ開催を控え、交通網や街並みの整備が進んでおり、モノづくりの拠点として、また便利な生活の町として魅力を増している。

そんな全国トップクラスの工場数と産業の多様性があり、独自の企業ネットワークを持つ東大阪で時代の要求に合った環境保全型商品をつくる会社 ― それが、今回取材する㈱テサキ製作所だ。その取り組みと、自社商品である自然流炭焼き窯「炭焼き達人」の誕生秘話を紐解く。

画像:合い言葉は「炭焼きは地球を救う」左:「炭焼き達人」の小型サイズT105型/右:「炭焼き達人」T105型による炭焼き。小型のため初心者の方でも本格的な炭焼きができる

板金業界は“おもしろい”“もっと知りたい”

手崎貴之社長は、15人規模の非鉄金属鋳物工場に就職し、19年間ひたむきに製造業の知識を蓄積していった。中堅になった40歳のころ、社内のいざこざに巻き込まれ、手崎社長を含めた7人が退職することになった。

何のアテもない退職だったが、「新しいことに挑戦できる機会だ」と胸をふくらませていたところ、鋳物工場のときの取引先であった板金工場の親方から「うちに来ないか」と声をかけてもらい、「これもご縁だ」と、辞めた社員のひとりと一緒に入社した。給与は鋳物工場のころに比べると1/2まで減ってしまったが、初めて知る板金加工に対し「おもしろい」「もっと知りたい」「勉強したい」と思うようになったという。

もともとこの板金工場は一人親方の工場だったため、新たに社員が2人入社するのは採算上きびしかった。しかし、親方は手崎社長に3カ月間、徹底的に板金加工の基礎を教えてくれた。その後、その会社を退社することになった手崎社長は、夫人である手崎聖子専務の「自分で会社をやったらどうや」という言葉で独立を決意した。

しかし、「独立するにはもっと板金技術を学ぶ必要がある」と考え、ステンレスの加工を主とする板金工場に再就職。同時に通信教育で職業訓練大学校の板金科を受講し、板金加工の知識を習得した。また、勤務先の板金工場の社長から、出入りしていたアマダの営業マンを紹介してもらった。仕事の行き帰りには不動産屋に寄り、貸工場を探した。

そして「1990年に現在の土地面積80坪、建坪48坪の貸工場を得て、念願の独立を果たしました」と、手崎社長は当時を思い出しながらにこやかに語ってくれた。

画像:合い言葉は「炭焼きは地球を救う」左:テサキ製作所の自社商品「炭焼き達人」の小型サイズ(T105型)は三重構造となっている。写真は一層目のステンレス鋼板溶接構造部分(二層目はセラミック断熱材、三層目は珪藻土レンガ)/右:炭焼き達人の中型サイズK405型。ハンドルを軽くまわすだけで、女性でも簡単に窯本体の角度を調整できる

会社情報

会社名
株式会社 テサキ製作所
代表取締役
手崎 貴之
専務取締役
手崎 聖子
住所
大阪府東大阪市宝町5-27
電話
072-986-4533
設立
1990年
従業員数
5名
主要製品
産業用機械・電気機器・医療機器・食品機械などのカバー・フレーム・機能部品/環境保全型商品小型炭焼き窯など
URL
https://www.tesaki.co.jp/

つづきは本誌2019年4月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Sheet now記事一覧はこちらから