就業に役立つ技術・技能の修得で、卓越した技能士の育成を目指す
卒業製作の一環で「優秀板金製品技能フェア」に応募
三重県立津高等技術学校 副参事兼教頭 志賀 秀樹 氏
左:「第28回優秀板金製品技能フェア」(2016年度)「学生作品の部」で同校の生徒たちが受賞した、金賞の「精密板金和風アート」/右:銀賞の「SUS-MUFFLER」
三重県立津高等技術学校は、三重県が1945年に設立した職業能力開発校。訓練課程としては、「短期課程」と「普通課程」の2つがある。
短期課程の訓練期間は3カ月から1年で、受講するコースによって異なる。受講者は、主にハローワーク所長から受講指示や受講推薦を得られた求職者となる。訓練科は、一般の離転職者を対象とした訓練のほか、女性を主な対象とした訓練、障がい者を対象とした訓練、外国人を対象とした訓練、専門学校などへの委託訓練など多様である。
普通課程の訓練期間は2年間で、応募資格は18歳以上の高校卒業者。学科は、機械制御システム科(定員20名)、電子制御科(定員15名)、自動車技術科(定員20名)、メタルクラフト科(定員15名)の4つが設けられている。
メタルクラフト科は実習の一環として、職業訓練法人アマダスクールが主催する「優秀板金製品技能フェア」を活用。「第17回優秀板金製品技能フェア」で「学生作品の部」が新設されて以来、12年間連続で同フェアに参加している。
2016年に開催された「第28回優秀板金製品技能フェア」では、同校の生徒たちが応募したそれぞれの作品が、「学生作品の部」の金賞、銀賞、優秀賞、奨励賞を受賞した。
指導員として生徒を32年間指導してきた、三重県立津高等技術学校教頭の志賀秀樹氏に、優秀板金製品技能フェアに参加する意義やモノづくりの教育現場の今を聞いた。
モノづくりの楽しさを伝えることが重要
志賀秀樹氏
―近年は少子高齢化が進み、製造業に就業する若い人も少なくなっています。モノづくり技能の教育機関に求められていることは何でしょうか。
志賀秀樹教頭(以下、姓のみ) 私どものような職業能力開発校に求められていることは、若い人たちにモノづくりの楽しさを教えることです。工業高校の生徒たちを除き、普通科高校の生徒たちの多くは、「モノづくりでできること」「モノづくりのおもしろさや醍醐味」などについて、ほとんど知りません。そもそも触れ合う機会が圧倒的に少ないのです。
そのため、モノづくりに必要な技能や知識を教育する当校が、モノづくりの世界を紹介・啓発することが大事であると考えます。専門的な加工技術は就職後に学んでも遅くありません。大切なことは、モノづくりに楽しみを見出し、もっと勉強したいと思う心を育むことです。自身の根底にモノづくりを楽しむ気持ちがないと、モノづくりの道に進んでも途中で挫折してしまうことになりかねません。
―最近の生徒たちの印象はいかがですか。
志賀 いまの若い子たちは真面目で正直です。しかし、おとなしいという印象を持ちます。昔の若い子は血気盛んで自己主張が強かったため、教員と生徒で衝突し合いながら前へ進んできました。
しかし、今も昔も変わらず、若い人たちに伝えなければならないことはモノづくりの本質です。説明の際には、「塑性加工」といった言葉をできるだけ使わず、平易な言葉で伝えることを意識しています。例えば、板金加工については「薄い金属の板を加工して製品をつくったり、直したりする技術である」と紹介しています。あとは、自動車や自動販売機の外装、神社仏閣の屋根など、板金加工でつくられた身近なモノを紹介するようにしています。一度は目にしたことがあるものを挙げることで、生徒たちもおぼろげながら理解してくれます。
メタルクラフト科の生徒と指導員
座学では2次元CAD/CAM AP100を使ったプログラム教育を行う
学校概要
- 学校名
- 三重県立津高等技術学校
- 校長
- 野村 浩
- 住所
- 三重県津市高茶屋小森町1176-2
- 電話
- 059-234-2839
- 創立
- 1945年
つづきは本誌2017年2月号でご購読下さい。