特集

第38回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介

大阪万博のシンボル「大屋根リング」を再現 ― シカル曲げを生かし、溶接レスで製作

「板金製 大屋根リング」が「日刊工業新聞社賞」を受賞

株式会社 現代工業

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画像:大阪万博のシンボル「大屋根リング」を再現 ― シカル曲げを生かし、溶接レスで製作「日刊工業新聞社賞」を受賞した ㈱現代工業の「板金製 大屋根リング」(SUS304・板厚0.8㎜、W395×D390×H490㎜)

万博のシンボル「大屋根リング」を金属で再現

画像:大阪万博のシンボル「大屋根リング」を再現 ― シカル曲げを生かし、溶接レスで製作前列左から、ホアン・ヴァン・チョンさん、木村勇男さん、大

「第38回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「組立品の部」に出品した㈱現代工業「板金製 大屋根リング」が「日刊工業新聞社賞」を受賞した。同賞は「技術水準・独創性がきわめて高く、業界の発展に貢献すると思われる作品」に授与される。

この作品のベースとなったのは、「2025年大阪・関西万博」のものづくり体験型展示イベント向けに製作した直径約2mの「板金製 大屋根リング」(1/300スケール)。万博のシンボルであり、「最大の木造建築物」としてギネス世界記録にも認定された全周約2㎞の「大屋根リング」を、約1/300スケール(全周約6.6m・直径約2m)で再現した。オリジナルの「大屋根リング」の設計者であり、万博の会場デザインプロデューサーである藤本壮介氏の監修も得た。

板金フェアの受賞作品は、この「板金製 大屋根リング」(1/300スケール)の1/16ピース。これを全16ピース(各22.5°)連結すると、直径約2mのリングになる。板金フェアのサイズ規定に合わせてリングを構成するピースを抽出した格好で、材質を鉄からステンレスに変更して再製作した。

曲げと嵌め合いだけで製作 ― シカル曲げを活用

溶接・接着・ビス止めなどの接合はいっさい行っていない。高精度な「曲げ加工」と「嵌め合い」による組立だけでつくり上げ、繰り返し分解・組立が可能な構造となっている。

木造建築の「大屋根リング」は、420×420㎜の柱と420×210㎜の梁を、日本の伝統技術である「貫(ぬき)工法」で格子状に組み上げている。同社のリングは、切り欠きを入れた15×15㎜の柱と梁を嵌め合わせることで、梁が柱を貫通して支え合う「貫工法」の意匠を模している。

部品点数は、受賞作品(1/16ピース)が台座を含め79点、全16ピースを連結したフルサイズだと1,216点にもおよぶ。各部品の寸法誤差や反り・ひずみが累積すると、組立作業に大きな影響をおよぼすことになる。そのため、レーザ加工と同社の代名詞である高度な曲げ加工技術によりきわめて高い寸法精度を実現するとともに、試作を重ね、嵌め合い部のクリアランスを0.1㎜単位で調整した。

3次元CADによりアセンブリーモデルを作成し、組立の整合性を事前に確認。柱と梁は、V溝加工と曲げ加工を組み合わせた「シカル曲げ」によりシャープなエッジを形成し、「クロージング曲げ」により角パイプ状に加工した。

金属でありながら木造建築のような鋭いエッジとやわらかな意匠性を両立させ、オリジナルの「大屋根リング」が持つ格子構造の幾何学的な美しさや、「光と影の調和」を表現した。高精度な加工と複雑な組立作業を支える高度な技術・技能に加え、作品全体の完成度の高さも評価された。

画像:大阪万博のシンボル「大屋根リング」を再現 ― シカル曲げを生かし、溶接レスで製作左:2025年9月に万博会場で開催された「大阪のものづくり おもろいミライ展」に出展したフルサイズの「板金製 大屋根リング」(1/300スケール)/右:板金フェアに応募した1/16ピースの3次元モデル

建築金物が中心 ― 高度な曲げ加工技術に強み

同社は1990年の創業以来「精密で良質な製品づくり」をモットーとし、建築金物・店舗内装など、高い加工精度と外観品質、特殊形状への対応が求められる板金製品を手がけてきた。顧客は設計事務所やハウスメーカーなど約130社。その約80%が大阪市生野区の工場から半径5㎞圏内に集中しており、長年にわたり地域のものづくりを支えてきた。

高精度・高品質な曲げ加工技術には定評があり、多くの顧客から厚い信頼を寄せられている。その卓越した技術・技能は「優秀板金製品技能フェア」でも高く評価されており、第33回(2020年度)では「Rのクロージング曲げ」が「厚生労働大臣賞」を受賞。第36回(2023年度)では、その工法をさらに発展させた「三重Rのクロージング曲げ」が「単体品の部」のグランプリを受賞した。

2024年夏にはエクステリアなど意匠性の高い新分野への進出を目指し、V溝加工機とベンディングマシンを導入。高級感が求められる装飾金物などに用いる「シカル曲げ」を内製化した。シカル曲げは「板金製 大屋根リング」だけでなく、同社初のBtoC製品として開発したダストボックス「EXTLINE」シリーズにも活用しており、強みである曲げ加工技術の進化・拡張につなげている。

画像:大阪万博のシンボル「大屋根リング」を再現 ― シカル曲げを生かし、溶接レスで製作左:柱と梁は「シカル曲げ」と「クロージング曲げ」によりシャープなエッジの角パイプ状に加工した/右:2025年12月に発売したダストボックス「EXTLINE」。シカル曲げによる美しいフォルムが特徴的

会社情報

会社名
株式会社 現代工業
代表取締役
大𣘺 玲子
所在地
大阪府大阪市生野区中川東1-8-15
電話
06-6757-0958
設立
2003年(1990年創業)
従業員数
26名
主要事業
陳列・装飾・建築金物の製造・販売/レーザ加工・NCタレットパンチプレス・板金加工/丸(角)ベース・鉄板・ステンレス販売
URL
https://gendaikogyo.com/

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