第38回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介
微細化の限界に挑んだコネクタソケット端子 ― 経営理念「不への挑戦」を体現
「マイクロソケット端子」が「経済産業大臣賞」を受賞
株式会社 鈴木
「経済産業大臣賞」を受賞した㈱鈴木の「マイクロソケット端子」(C2600・板厚0.05㎜、W0.2×D0.8×H0.13㎜)
微細化の限界に挑んだ極小サイズのコネクタ端子
「マイクロソケット端子」の開発を担当した技術開発課スペシャリストの蟻沢宏氏(左)と同課・高橋崇課長(右)
「第38回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「単体品の部」に出品した㈱鈴木の「マイクロソケット端子」が「経済産業大臣賞」を受賞した。同賞は「最高度な加工技術・手段の開拓など、その成果が板金業界に広く貢献すると思われる作品」に授与される。
この作品は、一般的な圧着端子を約1/30サイズまで小型化した極小サイズのコネクタソケット端子。抜き・曲げ・絞り・潰しといったプレス加工の要素技術を凝縮し、順送プレス金型による微細化の限界に挑戦した。
真鍮(C2600)・板厚0.05㎜のフープ材からプレス加工で製作している。連続する丸穴は端子を成形するための位置決め用。作品はその先端の長さ0.8㎜・φ0.2㎜の部分で、φ0.13㎜の貫通穴があいている。太さはおおよそ髪の毛2本分。加工精度は±0.005㎜。実用の際は長さ0.8㎜の箇所で切断し、φ0.1㎜の極細電線を挿入して、極小サイズの圧着端子として用いる。先端部を絞り加工で成形したことにより、プラグ挿入時も開くことなくはめ込みを保持する。
精密金型技術を基盤に、微細加工技術と匠の技を融合させた。金型製作のための専用工具・治具に加え、専用の送り装置も開発し、順送プレスによる量産確認まで完了している。
近年は電子機器の小型化・高密度化や自動車の電動化の進展とともに、コネクタ・電子部品の微細化・多ピン化・ファインピッチ化の要求が高まっている。そうした中でマイクロスコープなしでは形状確認も測定もできないほど微細な端子の量産を実現した最高度の加工技術が評価された。
左:米粒とのサイズの対比。金属プレス金型による微細化の限界に挑戦した/右:抜き・曲げ・絞り・潰しといったプレス加工の要素技術を凝縮した
金型製造・部品製造・生産システム製造を展開
㈱鈴木は、精密金型の設計製作から電子部品・自動車電装部品などの生産、自動化設備の開発・製造まで一貫して手がける課題解決型ものづくり企業。「不への挑戦」を経営理念に掲げ、「ゼロへの挑戦」と形容される徹底的な精度追求により、不可能を可能にする技術革新に挑み続けてきた。
同社は1933年に東京・大田区で創業し、鉱石ラジオ部品用金型などの製作を開始した。戦争疎開にともない長野県へ移転し、その後は須坂市を本拠地として事業を展開。今では売上高333億円(2025年6月期・連結)、従業員数1,000名超(連結)の東証プライム上場企業へと成長を遂げた。
事業ドメインは「金型製造」「部品製造」「生産システム製造」の3つ。「金型製造」では超精密微細加工技術をコアとしたプレス金型やモールド金型を手がけ、「部品製造」では自社製金型を用いて電子通信機器のコネクタや車載用部品を量産する。「生産システム製造」では、各種自動機器の開発・製造・販売を手がけ、近年は医療機器製造業許可を取得し、医療事業にも参入している。
国内の生産拠点は須坂市内に集約されており、営業・管理・金型製造を担う「本社工場」、部品量産ラインが並ぶ「日滝原工場」、各種自動化設備を製造する「須坂インター工場」などが緊密に連携する。海外は中国・インドネシアに拠点を持ち、グローバルな需要に対して迅速に対応する。
金型技術を基盤に月40億ピンのコネクタを生産
「金型製造」は同社のものづくりの根幹だ。「本社工場」の金型部門には約130名が在籍し、設計・部品加工・組立の一貫生産に対応する。200トンまでの精密プレス金型や、100トンまでのモールド金型を、月に約30台のペースで製造している。製作した金型(金型売上)の約65%は自社の量産用、約30%が外販、残り5%がスペア加工となっている。
ミクロン単位の精度要求に応えるため、本社工場内には高精度なワイヤ放電加工機・形彫放電加工機・マシニングセンタ・プロファイル研削盤などの最新鋭の工作機械が並び、高精度な金型部品を生み出している。
この卓越した金型技術を最大限に生かしているのが、売上構成比で75%超を占める「部品製造」だ。主な生産品目は、スマートフォンなどに用いる「電子部品コネクタ」や、高い信頼性が求められる「自動車電装部品コネクタ」。「日滝原工場」などに約200台ものプレス機や約50台の成形機、めっきラインを備え、国内最大級の生産能力を有している。
ここから生み出されるコネクタコンタクト(端子)の数は、月40億ピンにものぼる。各プレスラインには自社開発の画像検査装置が組み込まれ、高速で加工される極小製品をインラインで全数保証。膨大な生産量を支え、トレーサビリティーを確保し、「不良ゼロ」を追求している。
長野県須坂市にある㈱鈴木の本社工場。同社のものづくりの根幹である「金型製造」を担う
「本社工場」で金型の加工を行うプロファイル研削盤
会社情報
- 会社名
- 株式会社 鈴木
- 代表取締役社長
- 鈴木 教義
- 所在地
- 長野県須坂市大字小河原2150-1
- 電話
- 026-251-2600
- 設立
- 1933年
- 従業員数
- 連結1,091名(2025年6月30日現在)
- 主要事業
- 精密プレス金型、精密モールド金型/コネクタコンタクト、コネクタハウジング、自動車電装部品/SMT関連装置、半導体関連装置、専用機/医療器具組立
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