存在感のある北陸の板金・鋼材加工企業
想定以上の省エネ効果を発揮する鉄骨・鋼材加工向けファイバーレーザマシン
TK仕様にすることで、さらなる自動化・省人化を目指す
北陸スチール 株式会社
鉄骨・鋼材加工向けファイバーレーザマシンLC-VALSTER-6225AJ+AS-6225+TK-6225L
JFEグループ唯一の北陸直系厚板加工会社
左から、加藤将人滑川工場製造部長、前田弦滑川製造部滑川溶断グループ長
北陸スチール㈱は、JFEグループ唯一の北陸直系厚板加工会社として、産業機械・建設機械・建築土木向け鋼材の溶断・溶接・加工や、ビルトH型鋼の製造を手がける。前身の企業からカウントすると57年間にわたって鋼板加工に携わり、ISO9001やISO14001も取得して、高品質な製品を提供している。
産業機械・建設機械・建築の3分野にまたがって対応できる数少ない加工企業として、石川・富山・新潟の3カ所に製造拠点を持ち、北信越地域を中心に関西まで広範囲にカバーしている。
同社は、2000年にJFE商事の資本参加により、根上シャーリング㈱と北陸鋼板工業㈱が合併して設立した。2011年に「滑川工場」を拡充し、「富山工場」を集約。2017年には新潟スチール㈱の厚板事業を移管して「柏崎工場」を開設した。さらに同年、鉄骨製作を手がける「石川工場」が、5階建て以下の中規模の建築物に対応できる「Rグレード」に認定され、2021年には建築規模に制限がない「Mグレード」に認定された。
産機・建機・建築向け鋼材の一貫加工に対応
同社は材料調達から1次加工、2次加工、溶接、ビルトHまで一貫して対応できる生産体制を整えている。
鋼材流通において、かつては各工程で異なる業者が加工を担うことが一般的だったが、最近は適切な設備・人材を備えた工場が減少傾向にあり、業界全体の課題としてクローズアップされている。そうした中にあって、産業機械・建設機械・建築土木向け鋼材の一貫加工に対応できる能力を備え、最終製品を組み立てるエンドユーザーの資材調達やスケジュール管理の負担を減らすことができる同社の提供価値は大きい。
JFEグループにおける厚板加工の一大拠点として、3工場体制で北信越地域をカバーし、信頼性のある商品を安定的にデリバリーできる点も大きな強みだ。「石川工場」は建設機械・建築部材の加工、「滑川工場」と「柏崎工場」は建築土木関連の部材加工を主に手がけている。Mグレードに認定されている「石川工場」は、個人住宅からビルまで幅広い建築物の鉄骨が製作可能な能力も備えている。
建設機械部品は、SS材・SM材・特殊材の切断から直線開先・円開先に対応し、ホイールローダーのバケットシリンダー部分、モーターグレーダーのフレーム部分などの溶接まで行う。産業機械部品は、板厚6〜300㎜の厚板切断に対応し、板金プレス機・中型プレス機・鍛造プレス機の本体を溶接まで行っている。
パレット交換中のTK側から見たLC-VALSTER-AJの材料・製品棚AS-6225
IJPで製品番号が印字された鋼板
自動化・スキルレス化・省エネ化が課題
滑川工業団地にある「滑川工場」は、もともと北陸鋼板工業㈱の工場で、2011年に富山工場を集約して拡充された。現在の人員数は、ベトナム人の技能実習生4名を含め28名。テーブル長さ26mの自走式CO2レーザマシン(6kW)1台に、NCガス切断機、プラズマ切断機、平板直線開先機、孔明加工機などがあり、月1,300トンを出荷した実績もある。
現在は主力の建築分野の市場が停滞気味で、生産量が月1,000トンを下まわる月もある。しかし、関西万博後は「大阪IR(統合型リゾート)」の案件が動き出し、全国の主要な都市再開発事業も進むと見られ、今後の回復が期待される。
その一方で、若手人材の不足と現場作業者の高齢化といった課題はますます深刻になっており、身体的な負担が大きい製品回収やハンドリングの領域でも、自動化・省力化・スキルレス化が大きなテーマになっている。また、JFEグループの一員としてSDGsの実現や脱炭素化に貢献するため、工場の省エネ化への対応も求められている。
穴あけ加工機
鋼板の曲線開先にも対応できるガス開先ロボット
会社情報
- 会社名
- 北陸スチール 株式会社
- 代表取締役社長
- 大村 義高
- 本社
- 石川県能美市道林町へ106-20
- 滑川工場
- 富山県滑川市追分3545
- 電話
- 076-475-9416(滑川工場)
- 設立
- 2000年
- 従業員数
- 83名(全社・パート社員など含む)
- 主要事業
- 鋼板加工業(溶断・溶接・ビルトH形鋼加工)
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