新工場への再編・統合で飛躍を目指す四国の板金企業
拠点集約と自動化で一貫生産体制を強化 ― 板金・溶接の緊密な連携を実現
ブランク7台・曲げ24台体制に ― 工程間には大型自動倉庫と自動搬送システムを設置
株式会社 エスイージー
「日章工場」の曲げ工程。計24台のベンディングマシンを運用する。背後には大型自動倉庫を新設した
新工場「日章工場」に3工場の機能を集約 ― 4拠点体制から2拠点体制へ
左から経営統括部の北岡栄進取締役、濱田順久社長、生産統括部の山中辰哉常務
㈱エスイージーは、高知県南国市に新たな生産拠点「日章工場」を新設し、2025年3月から稼働を開始した。
新工場は、高知空港から車で5分の「南国日章産業団地」(同市日章あけぼの)に入居者第一号として建設した。敷地面積は約2万8,500㎡で、一部2階建ての本社棟と工場棟を合わせた建築面積は約1万7,900㎡、延べ床面積は約1万8,400㎡におよぶ。
総投資額は約55億円。事業費は県の補助金のほか、脱炭素目標の達成度などに応じて金利が優遇される「サステナビリティ・リンク・ローン」を活用した。
同社の生産拠点はこれまで、①主に板金加工を手がける「西工場」、②プレス加工・溶接を手がける「東工場」、③パイプ曲げ・溶接を手がける「南工場」、④機械加工・組立を手がける「南国工場」 ― の4カ所に分かれていた。
このうち、「西工場」の板金工程、「東工場」「南工場」の溶接工程を「日章工場」に集約した。最も古い「東工場」周辺の宅地化が進み、老朽化が目立ってきたところへ、南国市から新たに造成する「南国日章産業団地」への誘致があり、新工場の建設を決めた。西・東・南の各工場は順次集約し、「日章工場」と「南国工場」の2拠点体制とする。
左:2025年3月から稼働を開始した㈱エスイージーの「日章工場」。敷地面積は約2万8,500㎡、建築面積は約1万7,900㎡におよぶ/右:ブランク工程には、新たに導入したファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJe(自動倉庫MARSと連動)などが並ぶ
板金・溶接の緊密な連携を実現 ― 拠点集約により一貫生産を強化
「日章工場」は、板金加工(ブランク・曲げ)、スポット溶接、TIG・半自動溶接に対応する部品加工の中核拠点。これまでは板金加工を手がける「西工場」が部材供給の起点となり、そこから別工場へ展開していたが、「日章工場」に集約したことで板金工程と溶接工程の緊密な連携が実現した。
「南国工場」は敷地面積2万2,800㎡、建築面積1万7,800㎡で、「日章工場」とほぼ同規模。機械加工・研磨加工・熱処理・大型プレス・溶接・塗装の工程を持ち、ユニットの組立にも対応する。
拠点集約による横持ち解消で、運送コストと製造リードタイムは大幅に削減でき、運送費は従来の2/3程度になった。「日章工場」には同工場で使用する電力の約30%をまかなう自家消費型の太陽光発電システムを設置し、拠点集約との相乗効果で、全体の電気料金も約30%削減した。
営業担当者を増員して新規得意先の開拓にも力を入れ、5年後の2029年3月期には売上高を10.2%増の65億円に引き上げる目標を掲げている。
濱田順久社長は「新工場建設を構想するようになったきっかけは『東工場』の老朽化と周辺の宅地化でしたが、物流費や電気料金が高騰する中、3工場を集約して効率化をはかる計画へと発展していきました」。
「拠点集約により効率化をはかるとともに、自動化技術とデジタル技術を融合したスマート工場とすることで、ムダを省き、強みである一貫生産を強化していきます。働き方改革も推進し、職場環境を改善することで、ものづくりを若者や女性にとっても魅力ある仕事にしたい」と語る。
左:フォークリフトやハンドリフトの代わりに工程間の部品搬送を行う自動搬送システム/右:90台以上のスポット溶接機が並ぶスポット溶接工程
会社情報
- 会社名
- 株式会社 エスイージー
- 代表取締役社長
- 濱田 順久
- 日章工場(本社)
- 高知県南国市日章あけぼの1-1
- 南国工場
- 高知県南国市里改田203
- 電話
- 088-802-7446
- 設立
- 2008年(1963年創業)
- 従業員数
- 約350名
- 主要製品
- 農業機械部品、建設機械部品、船舶機械部品、精密板金関連、ボイラー用部品、各種産業用機械
つづきは本誌2025年9月号でご購読下さい。
- 当サイトで購入
- Amazonで購入
- Fujisanで購入