特集

協働ロボットを活用したファイバーレーザ溶接の自動化

アルミ溶接の対応力強化で差別化をはかる ― 協働ロボットによる自動化も推進

溶接技術と短納期対応を強みに発展 ― 板金加工・機械加工・溶接の一貫生産体制を構築

株式会社 光伸製作所

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画像:アルミ溶接の対応力強化で差別化をはかる ― 協働ロボットによる自動化も推進①ファイバーレーザ溶接機FLW-1500MTSと協働ロボットCR-700Wによるファイバーレーザ溶接/②協働ロボットのダイレクトティーチングを行う近藤俊輔さん/③ハンディ溶接による仮付け

ファイバーレーザ溶接機を初めて導入 ― アルミ溶接の強化と自動化を目指す

画像:アルミ溶接の対応力強化で差別化をはかる ― 協働ロボットによる自動化も推進近藤俊行専務

㈱光伸製作所は2025年3月、ハンディファイバーレーザ溶接機FLW-1500MTSと、専用協働ロボットCR-700Wを導入した。既存の溶接ブースを1カ所撤去し、FLW-1500MTSの溶接ブースを新設した。既設のYAGレーザ溶接機2台に続く3台目のレーザ溶接機で、初めてのファイバーレーザ溶接機。溶接ロボットも同社初となる。

FLW-1500MTSは高輝度シングルモジュール発振器を搭載し、エネルギー密度の向上により従来機に比べて溶け込み深さが1.5倍に向上した。特にアルミ製品については溶接表面・ビード表面・ビード内部の品質改善と、仕上げ工数の大幅削減が期待できる。

同社は強みである溶接技術を引き上げてさらなる差別化をはかるため、FLW-1500MTSを導入してアルミ溶接への対応力を強化。また、専用の協働ロボットCR-700Wを併せて導入し、数量が多いロット品の溶接にも活用する。将来的には一定の送り速度で安定加工が可能なCR-700Wを、単品の溶接にも活用していく考えだ。

近藤俊行専務は「アルミの溶接に関してはいろいろな溶接機メーカーに相談してきましたが、ようやく納得のいく仕上がりで加工できる溶接機に巡り会えました。今後はファイバーレーザの溶接設定やロボット運用のノウハウを培い、当社の強みとしてPRしていきたい」と語っている。

画像:アルミ溶接の対応力強化で差別化をはかる ― 協働ロボットによる自動化も推進アルミカバー(A5052・板厚1.0㎜)の加工サンプル

画像:アルミ溶接の対応力強化で差別化をはかる ― 協働ロボットによる自動化も推進クリーンルーム設備部品(SPCC・板厚6.0㎜、板厚3.2㎜)の加工サンプル

溶接技術と短納期対応を強みに発展 ― 板金・機械加工・溶接の一貫生産に対応

同社は1971年に狩野實氏が「狩野鉄工所」として創業し、フレームなどの溶接製缶事業を開始した。1983年頃から精密板金加工の領域へ進出し、1985年に「㈱光伸製作所」を設立。1991年に現在地に新社屋を開設・移転した。

最大の強みは溶接技術だ。板金業界の装置産業化が進むにつれて同業者間の差別化が難しくなり、海外企業の台頭も懸念される中、祖業である溶接の技術力と短納期対応を武器に発展を遂げてきた。

現在は延べ32名の溶接免許取得者(ステンレス鋼溶接・半自動溶接・アルミニウム溶接)が在籍し、コンマ台の薄板から板厚20㎜超の厚板、機械加工部品まで幅広く対応する。2001年と2018年にはハンディYAGレーザ溶接機を導入し、ステンレス鏡面カバーのような溶接焼けや熱ひずみを嫌う製品の溶接品質向上をはかった。気密溶接にも対応し、高い精度と美しい仕上がりにこだわり続ける同社の溶接技術には、得意先各社も厚い信頼を寄せている。

2020年には京都市伏見区に機械加工工場を新設し、マシニングセンタを導入した。これにより、タンクやホッパーのフランジ部などに用いる機械加工を内製化。精密板金加工から機械加工、溶接製缶までの一貫生産体制を構築し、トータルリードタイムの短縮をはかった。板金加工と機械加工の複合加工にも柔軟に対応する。

近年は「みんなが快適に作業できる工場づくり」「お客さまに安心していただけるものづくり」を品質方針に掲げ、「BCP(事業継続計画)委員会」「安全衛生管理委員会」「健康経営優良委員会」「ソーシャル企業認証委員会」などを設置。委員会活動を通じて各種認定・認証を取得しながら、地域に根差したものづくり企業として社会的責任を果たすため、さまざまな取り組みを行っている。

  • 画像:アルミ溶接の対応力強化で差別化をはかる ― 協働ロボットによる自動化も推進ブランク工程。ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ(手前)とパンチ・レーザ複合マシンLC-1212C1NT(奥)が並ぶ
  • 画像:アルミ溶接の対応力強化で差別化をはかる ― 協働ロボットによる自動化も推進曲げ工程。HG-8025(左)など3台のベンディングマシンが並ぶ

会社情報

会社名
株式会社 光伸製作所
代表取締役
狩野 英樹
所在地
京都府城陽市上津屋野上26-1
電話
0774-52-3257
設立
1985年(1971年創業)
従業員数
27名
主要事業
精密板金加工・機械加工・製缶・各種溶接(スポット・TIG・CO2・YAGレーザ・ファイバーレーザ)
URL
https://www.koshin-ss.co.jp/

つづきは本誌2025年8月号でご購読下さい。

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