特集

生産自動化への取り組みで事業好調な板金企業

ものづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力

3台のベンディングロボットでボトルネックを解消

株式会社 興和工業所

LINEで送る
Pocket

画像:ものづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力手前からHG-1003ARs、EG-6013AR、HG-2204ARmの3台のベンディングロボットシステムが並ぶ曲げ工程。曲げ角度センサーも付いているので高精度に、バラツキがなく、安定した加工ができるようになった

お客さまファーストのワンストップサービス

画像:ものづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力左から宮田工場次長、ベンディング課の村本PB1係長、鹿島PB2係長、西川PB3係長

㈱興和工業所は1947年の創業以来、溶融亜鉛めっきの表面処理事業では国内トップシェアを誇っている。各種表面処理を基軸に金属の加工分野である機械加工からプレス板金、溶接、組立まで、得意先のさまざまなニーズに応えてきた。

表面処理事業を行う工場が6工場、金属加工事業を行う工場が7工場の計13工場が愛知県内、三重県松阪市内にある。各工場がそれぞれ特徴を持ち、互いに協力し合うことにより、金属加工の入口から出口までを手がけるワンストップ対応で、得意先からの要望には決して「ノー」とは言わずに、コストパフォーマンスの高い、短納期のものづくりサービスを実現、「お客さまファースト」を実現してきた。

従業員数10名から始まったが、時代の流れに沿い増減を繰り返し、現在は1,112人まで増えた。それにともない仕事量も増加、2024年3月期の売上高は320億円となった。

板金加工を主業務とする小牧工場

13工場の中で板金加工~塗装~組立の一括受注、一貫生産を可能としているのが、板金加工を主業務とする「小牧工場」、塗装事業を担う「犬山工場」、組立配線を行う「春日井工場」の3工場だ。板金加工事業の売上構成比は10%以下だが、総合エンジニアリング企業として、ワンストップ対応するためには欠かすことができない部門のひとつであり、一貫生産体制を強化することで、さらなる事業拡大を目指している。

「犬山工場」では製品や構造物の腐食を防ぐために、浸漬による大型カチオン電着塗装(白色)ラインを導入。「小牧工場」「春日井工場」と連携することで、幅広い客先ニーズに対応し、設計から板金、塗装、組立配線までの一括管理品受注により、精密板金加工のトータルエンジニアリングを目指している。

  • 画像:ものづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで金型との干渉が発生しないかを確認する
  • 画像:ものづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力ファイバーレーザ複合マシンEML-2512AJ-PDC+AS-2512NTK+ULS-2512NTK

フレキシブルに対応できる生産能力を強化

板金加工のオーソリティーをめざす「小牧工場」は、広大な工場スペースを有効に活用し、精密メカ板金部品から大型筐体までに対応。搬送ロスの大幅な削減と原価低減のベース構築を実現している。

板金加工の設備能力・加工技術力のさらなるアップのため、ブランク工程にはファイバーレーザ複合マシンEML-2512AJ-PDC+AS-2512NTK+ULS-2512NTKをはじめとした3台の複合マシン、コーナー成形加工を容易に行うことができるコーナーフォーミングマシン、パンチングマシン、レーザマシンなど。曲げ工程にはHG-2204ARm、HG-1003ARs、EG-6013ARといった3台のベンディングロボットのほか、鉄系材料専用に7台、ステンレスなど用に5台、計12台のネットワーク対応型のベンディングマシンが稼働する。

2024年度中には「松阪工場」(三重県)にファイバーレーザ複合マシンACIES-2512AJe+AS-2512NTK+ULS-2512TK、「小牧工場」に自動金型交換装置付きベンディングマシンEGB-6020ATCを増設、得意先の多様なニーズに迅速かつフレキシブルに対応できるよう生産能力を強化する。

また、「犬山工場」との一体運営化と設計・展開から板金加工、塗装、組立までの一括管理品の受注体制を強化するため、製造DXの取り組みをさらに強化。顧客満足度の向上と、環境保全への取り組みを強化している。

「小牧工場」の主要製品は自動改札機・アミューズメントマシン関連の得意先から筐体・パネル、3社の得意先から工作機械カバーなどで、設計からワンストップで受注対応している。2020年に「春日井工場」で組立配線を開始するようになってからは、完成品までの一貫受注に対応している。

  • 画像:ものづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力2023年1月に導入したベンディングロボットシステムHG-2204ARmはリブ・パネル形状の複雑な曲げ加工に対応する
  • 画像:ものづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力HG-1003ARsによる曲げ加工。ベンディングロボットで加工する製品は曲げ工程数が多く、リピート率が高いものが多い

会社情報

会社名
株式会社 興和工業所
代表取締役
六車 壽夫
本社
愛知県名古屋市瑞穂区二野町2-28
小牧工場
愛知県小牧市大字東田中字下五反田1081
電話
0568-77-3277(小牧工場)
設立
1948年(1947年創業)
従業員数
1,112名(2024年3月末時点)
主要事業
溶融亜鉛めっきを中心とする表面処理、機械加工、板金加工、溶接、塗装、焼き入れなど
URL
https://www.at-kowa.co.jp/

つづきは本誌2025年2月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから