小規模板金工場のものづくりを支援するデジタル技術
RPAがもたらした時間削減以上の価値
ローコード、ノーコードなデジタルツールを活用した、業者任せにしない「中小企業のDX」
株式会社 東円鈑工所
創業40年で始まった事業承継とDX化
㈱東円鈑工所は、工作機械部品などを手がける板金工場で働いていた加藤公平社長の父・加藤公彦氏が1977年に創業した。1979年に愛知県犬山市に10坪の工場を建設。1989年には隣接する土地を購入して現在の本社工場(80坪、3階建)を建設して、パンチングマシンPEGA-357を導入した。当時はスプラッシュガードや制御盤筐体など、板金製品へのニーズが高度化し始めたころで、板金加工の高度なスキルを備える同社への発注も次第に増えていった。
2000年にレーザマシンLC-1212αⅢNT、2002年にネットワーク対応型のベンディングマシンFBDⅢ-1025NTを導入してネットワーク環境を整備。多様化するニーズに対応し、顧客にとって最適な製品を提供できるように設備を増強していった。2006年には株式改組。2013年に生産管理システムWILLを導入して、Q,C,Dを充実させていった。納期・個数などの生産情報と、事務所で作成した加工情報を一元管理し、生産のムリ・ムダを省き、受注から出荷までの生産管理システムを構築した。ネットワーク対応型マシンへの入れ替えや増設を逐次行うことで、顧客満足度の向上にも取り組んでいった。
創業40年の節目となる2018年には、加藤公彦氏から加藤公平氏へと事業が引き継がれた。
工作機械カバーなど工作機械関連部品を製作
現在の得意先は10社ほどで、その大半が工作機械関連。主力の工作機械メーカーからの売上が全体の80~85%を占めており、旋盤系、マシニングセンタ系のスプラッシュガード、オイルパン、ATCカバー、メンテナンス用カバー、各種ブラケットなどを生産する。
加工材料はSPCC、SPHCの板厚1.0~9.0㎜がほとんど。月間のオーダー数は4,000~5,000件で、平均ロットサイズは2.2個の多品種少量生産となっている。納期は平均2週間。リピート品が約90%を占め、特急依頼などにも積極的に対応している。
2000年にASISネットワークシステムを導入して以降は、生産スケジュールをExcelで作成、運用するようになった。
小島克仁工場長は「紙の受注台帳や手書きの指示書をメインとしたアナログの管理では納期遵守がおぼつかなくなるとして、デジタル化に着手しました。納期遵守が第一で、注文番号・製品番号を検索すると、受注案件の進捗状況がわかるようになりました」と語る。
デジタル化へ対応を強化
社長交代のタイミングで加藤社長は、小島工場長をDX推進の責任者と位置づけ、デジタルツール導入の決定権を付与した。
「小島工場長はWILLの立ち上げを担い、ものづくりも熟知しています。当社のデジタル化を任せられる最適な人材と考え、迷うことなく指名しました。IT人材の不足は、中小企業はもとより大企業でも深刻な問題です。当社は20人規模の小さな会社ですが、工場長がいるので心強いです。私は知識が乏しいため、工場長を中心にDXへの対応を進めています。当社の規模感だからこそ、身軽に、やりたいことをすぐに反映することができます。今やるべきことをしっかり見極め、DXを加速させたい」(加藤社長)。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 東円鈑工所
- 代表取締役
- 加藤 公平
- 所在地
- 愛知県犬山市字東大円17-55
- 電話
- 0568-67-4975
- 設立
- 2006年(1977年創業)
- 従業員数
- 21名
- 主要製品
- 工作機械カバー部品
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