日本の総人口は毎年80万人以上減少する ― 外需を意識した市場開拓が必要
『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫
2050年の生産年齢人口は3,500万人
日本の総人口の推移を長期的に見ると、明治時代後半の1900年頃から100年かけて増えてきたが、2008年の1億2,808万人をピークに、その後の100年間で100年前の1900年の水準に戻っていく。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、2100年には高位推計で7,285万人、中位推計で5,972万人、低位推計では4,906万人となっている。
2050年の総人口は1億192万人となり、2008年のピークからは約2,500万人(19.8%)減少する。仮に2100年の総人口が低位推計の4,906万人になるとすると、2008年から2100年まで年平均で約86万人も減っていくことになる。
これを都道府県の人口(2020年国勢調査より)に当てはめると、第40位の和歌山県(約92万人)をやや下まわる程度で、佐賀県・山梨県・福井県・徳島県・高知県・島根県・鳥取県を上まわる。
年齢階層別に見ると、2015年から2050年にかけて、高齢人口が454万人増加するのに対し、生産年齢人口は2,453万人、若年人口は518万人減少する。その結果、高齢化率は約27%から約38%へ上昇する。また、国土の約2割が無居住化する。
「1.57ショック」で始まった少子化問題
1949年に、いわゆる第一次ベビーブームで合計特殊出生率(以下、出生率)は4.32となったが、それ以降は徐々に下がっていった。第一次ベビーブーム世代の結婚・出産が始まった1973年には第二次ベビーブームが到来し、2.14まで回復した。しかし1990年、前年の出生率が1.57となったことが判明し、「1.57ショック」として一般にも少子化問題が認知されるようになった。
その後はバブル崩壊などの影響もあり、1990年代から続く「失われた30年」によって経済成長は長期に停滞、もしくは微増に推移。非正規雇用労働者の増加、未婚化や晩婚化、晩産化や無産化が増加した。多くの対策や取り組みが行われたが、出生率の低下には歯止めがかからず、2005年には出生率は1.26と過去最低を更新した。2020年代に入ってからも、2020年は1.33、2021年は1.30と低い水準が続く。
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