板金論壇

「DX白書」から見えてくること

徹底した日米比較から彼我の差の大きさを知る

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

LINEで送る
Pocket

日米企業へのアンケート調査による比較

今年から始まった「デジタルの日」(10月10日・11日)にちなんで、情報処理推進機構(IPA)は「DX白書2021」を発行した。

「DX白書2021」の最大の特徴は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについて日米でアンケート調査を実施し、徹底比較を行っていること。これにより、日本の取り組みの遅れが浮き彫りとなった。

IPAは白書について「従来の定点観測は継承しつつ、DX推進のため、経営戦略・人材・技術の3つの視点で総合的な情報をカバーする」としている。目次、奥付などを入れると全382ページと膨大で第1部「総論」、第2部「DX戦略の策定と推進」、第3部「デジタル時代の人材」、第4部「DXを支える手法と技術」、「付録」という構成になっている。企業インタビュー(事例14社)や有識者コラム(14篇)も収録されている。中でも見逃せないのが「DXへの取り組み状況」の日米比較。アンケートで国内534社、米国396社から得た回答を集計・分析しており、米国とのDXへの取り組みの差が回答結果に如実に表れている。

DXに関する日米の取り組みの差

IPAのプレスリリースでは、以下の6つの調査結果を挙げ、日米の取り組みの差を指摘している。

まず、「DXへの取り組み状況」を尋ねた結果、日本企業は「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」の割合が合わせて45.3%であるのに対し、米国企業は71.6%だった(図1)

画像:「DX白書」から見えてくること図1:DXへの取り組み状況

「経営者・IT部門・業務部門が協調できているか」を尋ねた結果、日本企業は「十分にできている」「まあまあできている」が合わせて39.9%に対し、米国企業は8割以上と、2倍の差がついた(図2)

画像:「DX白書」から見えてくること図2:経営者・IT部門・業務部門が協調できているか

人材面では、「事業戦略上の変革を担う人材の『量』」について、日本企業では「大幅に不足している」と「やや不足している」が合わせて76%に対し、米国企業は43.1%と不足感に開きがあった(図3)

画像:「DX白書」から見えてくること図3:事業戦略上、変革を担う人材の「量」の確保

「社員のITリテラシー向上に関する施策状況」について、日本企業は「社内研修・教育プランを実施している」が22%に対して、米国では54.5%と大きな差があった(図4)

画像:「DX白書」から見えてくること図4:ITリテラシー向上施策

技術面では、「日米におけるAI技術の活用状況」について、日本企業では「導入している」が20.5%であり、米国企業(44.2%)との差は大きいものの、「AI白書2020」の調査(4.2%)と比較すると5倍に増加している状況も明らかになった。

「DX推進に有効な開発手法の活用状況」については、「デザイン思考」は日本企業14.7%(米国は53.2%)、「アジャイル開発」については日本企業19.3%(米国は55%)、「DevOps」は日本企業10.9%(米国は52.6%)と米国の利用が上回っている。

つづきは本誌2021年12月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

タグ

関連記事

板金論壇記事一覧はこちらから