サッシ・玄関扉・ドアなどの建具関連の仕事で発展
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株式会社 森川ステンレス工芸
サッシ・玄関扉・ドアなどの建具関連の仕事で発展
香川県観音寺市の有明浜の砂に描かれた銭形の砂絵「寛永通宝」は、寛永10年(1633年)に藩主だった生駒高俊公を歓迎するため、一夜にしてつくられたといわれる。東西122m、南北90m、周囲345mもある巨大な砂絵。この銭形を見たものは健康で長生きができ、お金に不自由しないと伝えられる。
そんな風光明媚な観音寺市にある㈱森川ステンレス工芸は、建物の開口部に取り付けるサッシ・玄関扉・ドアなどのステンレス製建具や鋼製家具、アルミパネル製品の仕事を手がけている。
創業は1955年、森川宗樹社長の父が観音寺市内で鉄工所を個人創業。当初は、鋼材切断事業を主体としながら、旋盤やフライス盤による機械加工の仕事を手がけていた。
森川社長は、実家の主力事業である機械加工とは異なる工法(板金・製缶加工)を学ぶため、学校卒業後は、ほかの製造企業で5年ほど経験を積んだ。しかし、配属部署の関係上、現場で板金加工を学ぶ機会には恵まれなかった。そこで森川社長は、実家の会社に戻り、板金加工を独学で習熟することを決意。家業を手伝うかたわら、技能の研鑚に努める日々を過ごした。
転機が訪れたのは1980年ごろ、鋼製のATMを製作している得意先から「板金加工の仕事を手伝ってほしい」と要請を受けた。そこで1981年に、板厚6㎜・切断長2,000㎜に対応できるシャーリングマシンとセットプレス、ベンディングマシンなどを導入。板金業界に参入し、板金加工の仕事の比重を高めていき、順調に発展していった。1988年には法人化し、社名を㈱森川ステンレス工芸とした。その後は「これからはステンレス製建具の需要が見込める」と考え、1990年には工場も増設した。そしてステンレス加工の仕事を取り込むためにはレーザマシンが必要と判断し、1990年代なかば、同社初となるレーザマシンLC-αⅡを導入、得意先も拡大してきた。
建具のモノづくりは“一品一様”
現在の得意先数は15社程度。売上高に占める比率は、建具関連が70~80%で、残りの20~30%は建築金物・建材、サイン関連となっている。
現在の主力製品は、建物の開口部に使用されるステンレスもしくは鋼製のドア。最近はマンションや商業施設と需要先はさまざまだが、傾向としては鋼製のドアやドア枠が増加、ステンレス製品の占める割合が減っている。同社が受注する仕事の多くは工期1~2カ月ほどの物件で、施工現場に指定された納期でドア、ドア枠などの建具を製作、納品している。受注物件数は年間350~400件となっている。
森川社長は「建具のモノづくりの特徴は、物件によって材料・寸法・デザインなどが異なる一品一様生産であることと、極端な短納期を求められることです。ただ、W(幅)×D(奥行き)×H(高さ)などの仕様が確定したあとは、お客さまから図面に変更が加えられることはなく、工法についての指定もほとんどありません。ただ、建設コストを抑えるため、材料費が上昇しても価格転嫁をなかなか認めていただけない環境にあります。そこで、ここは加工業者の腕の見せどころと考え、お客さまには溶接箇所を曲げ加工に工法置換するメリットや、工数を省いても強度を保つ工法など、コストダウンや工数削減、納期短縮などの観点でさまざまな提案をしています」と語る。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 森川ステンレス工芸
- 代表取締役
- 森川 宗樹
- 住所
- 香川県観音寺市木之郷町千足1
- 電話
- 0875-23-1281
- 設立
- 1988年(1955年創業)
- 従業員数
- 14名
- 主要事業
- ステンレス・スチール建具、建築建材・金物、サイン関連など
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