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SDGs対応で関心高まる自家用太陽光発電システム

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取材でうかがった企業の中には、発電した電気を電力会社がすべて買い取る「全量固定価格買取制度」(FIT)を活用し、自社工場に太陽光発電システムを設置している企業が多くあります。今、カーボンニュートラルやSDGsへの対応を目的に、売電を取りやめ、自家消費型に切り替える方向を検討する企業が増えています。

また、新工場建設を計画する企業では、併せて自家消費型の太陽光発電システムの設置を計画しています。自家消費型の太陽光発電システムは、太陽光発電でつくった電気を電力会社に売却せずに、自社工場で使用するシステムです。電力会社にすべて売電する「全量売電型」をやめて「自家消費型」にすると、電力会社から買う電気を減らすことができ、電気料金の削減につながります。

また、蓄電池を備え「貯める」仕組みを導入すれば、最も多くの電力を使用する時間帯に「貯めた」電力を充当することができ、さらに最大需要電力(デマンド)を引き下げ(ピークカット)、基本料金の削減ができます。さらに、CO2排出量も削減することができ、そうした取り組みをCSR活動として外部に公表することで、企業価値の向上につながります。また、蓄電池との併用により夜間や雨の日、災害時でも電源の確保が可能となるため、BCP対策の観点からもメリットがある、としています。

さらに、太陽光発電システムが工場立地法における「環境施設」としてカウントされるため、その分の緑地面積・スペースをほかに有効活用することが可能になるなどの点をメリットとして挙げる企業もありました。

ウクライナ侵攻をきっかけに燃料価格が高騰、電気料金は上昇傾向になっていて、すでに電力会社からは基本料金を2~ 2.5倍に引き上げるという話が出ています。加えて、再エネ賦課金の負担増や原子力発電の廃炉費用の負担など、電力会社から購入する電力は価格が変動するリスクをともなっていて、今後も値上がりしていく可能性が高くなっています。

板金企業の経営者の間ではSDGs宣言を行って、環境負荷低減を目指す取り組みを始める企業が増えており、グリーン化の加速はデジタル化への取り組みとともに強まる気配となっています。

しかし、いずれの企業でも課題とされているのが、「貯める」「使う」に対応する蓄電池やパワーコンディショナーに対する設備投資。売電目的に発電した電気を電力会社の電力系統に接続する場合は直流電気を交流に変換し、電気の質を一定にする必要があり、パワコンは必需品です。

しかし、パワコンは系統に接続されているので停電が発生した場合には安全上の理由から停止してしまいます。その場合は自立運転によって停電時などにパワコンから直接交流電力を引き込むことができる非常用電源機能を備えることが必須で、自家用に切り替える場合には自立型のパワコンに入れ替える必要があります。さらに、太陽光で発電した電気や電気料金の安い夜間電力を蓄電池に貯めておけば、必要な時に使えます。

しかし、現状では出力が100kW程度の太陽光発電の場合でも、自立型のパワコン・蓄電池の設置費用だけで数千万円が必要です。工場内電力をすべて賄うために250kWクラスを設置すると1億5,000万円程度が必要といわれています。それだけに高額の資金を確保しなければならず、きびしい側面もあります。ただ、企業価値を含めた効果を考えると、思い切った決断をする必要が経営者に求められてきているようです。

すでに世界では「RE100」 ― 企業が自社で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄う国際的な取り組みが始まっており、日本企業も積極的な対応が必要になっています。

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