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ウクライナ侵攻と新型コロナで不確実性が高まる

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毎夜、テレビでウクライナの動向を視聴していますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻はいまだ解決の糸口が見えません。テレビで放映されるウクライナの惨状を目にすると21世紀になってもなお、力によるロシアの暴挙に世界は固唾を飲んで見守ることしかできないことへのジレンマがあります。

侵攻が長引く中で、今回の暴挙が指導者だけの決断なのか、あるいは「ユーラシア主義」の思想に基づき「ロシア民族というアイデンティティー」を取り戻したいというロシア国民のナショナリズムに根差したものなのか、疑念を抱くようにもなっています。それとともにロシアという核大国が「核」を武器に世界を震撼させるやり方にやり場のない憤りを感じます。ひょっとすると第3次世界大戦が起こり、核によって人類が滅亡の淵に立たされるのでは、という恐怖感もあります。夜が来て朝が来ることが普通でなくなるときが近づいているのかもしれません。多くの企業経営者も一刻も早く終息することを願っておられます。

ところで今回のロシアへの経済制裁は、私たちにもいろいろなかたちで影響を与えてきます。特にガソリン、軽油などの価格上昇、電気料金をはじめとしたエネルギー価格の上昇による物価高騰が予想されます。

日銀が発表した2月の企業物価指数は、前年同月比で9.3%上昇、伸び率は1月の8.9%から加速しました。オイルショックが影響した1980年12月(10.4%)以来の高騰になります。原油など国際商品価格の上昇や円安による輸入物価の押し上げなどが影響しています。ウクライナ侵攻に対するロシアへの経済制裁による原油急騰が波及すれば原油価格はさらに上昇、物価上昇が加速することが予測され、生活面での影響は避けられません。しかし、悲惨なウクライナ国民の現状を考えれば、私たちもこの程度の物価上昇は容認しなければならないと思います。

また、政府は2月26日に国際輸出管理レジームの対象品目(リスト規制品目)に関するロシア向け輸出の禁止などをはかる措置を閣議了解しました。これにより外為法に基づく措置として経済産業省の通達が改正され、3月5日からロシアを仕向け地とするリスト規制品目の輸出について規制変更が行われました。この措置によりリスト規制品目に該当する製品のロシア向け輸出に影響が出ると考えられます。しかし、ロシア向け輸出製品の中で板金関連製品は限定的と考えられ、直接的な影響は少ないと思われます。

しかし、欧州を中心に消費者マインドの冷え込みが予想され、世界経済への影響は避けられません。第一生命経済研究所は「ロシアとウクライナ向け輸出が2割減少し、2022年の原油価格が平均して1バレル100ドルで推移した場合、成長率の押し下げは欧州が▲0.4%ポイント、日本が▲0.3%ポイント、米国が影響なしと試算される。実際には米国でも物価高による景気の押し下げが働くためマイナス影響が上回ることが考えられる」との予測を発表しています。この前提では石油が1バレル100ドル前後と予測していますが、市場ではすでに140ドルにまで上昇しており、影響がさらに深刻化する可能性があります。長期化すればさらなる影響も懸念されるため、先行きを注視する必要があります。

一方、ウクライナ報道で新型コロナの新規感染者数の推移があまり気にならなくなっています。3回目のワクチン接種が進み、感染者数が減少する傾向が見られており、「ウィズコロナ」が日常になり、マスク装着やアルコール消毒や検温が日常となっています。私個人は新型コロナもインフルエンザや風邪と同様に予防が大事と捉えています。また、少しでも早く新型コロナの治療薬が開発され手軽に手に入れられる状況となるのを望むばかりです。

ウクライナに安心な日常が一刻も早く訪れることを願います。

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