Interview

コロナ禍の中、新たな取り組みを相次いで展開

板金加工作品のレンタル事業をスタート

株式会社 ナダヨシ 代表取締役 植木 剛彦 氏

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画像:コロナ禍の中、新たな取り組みを相次いで展開植木剛彦氏

㈱ナダヨシは昨年以来のコロナ禍の中、新たな取り組みを相次いで展開している。

昨年4月頃からは、マスクが極度の品薄になる中で、手づくり布マスクを製作する際に便利な「手作り布マスク用の金型」を製作し、希望する人々に2,500枚以上を無償提供した。このときの経験を生かして、6月にはオリジナル商品のオンラインショップを開設、D2C(消費者直接取引)によるB to C事業を立ち上げた。さらに、2020年12月には同社が得意とするステンレス溶接技術を生かし、モニュメントやインテリアなどの板金加工作品のレンタル事業をスタートした。

同社は特殊自動車・医療機器・空調機器・厨房機器の部品加工、建築金物・装飾金物の製作を主に手がけ、とりわけステンレス加工・溶接の技術力には定評がある。

職業訓練法人アマダスクールが主催する「優秀板金製品技能フェア」の上位賞の常連としても知られる。第18回(2005年度)以来、社員の技術・技能の研鑽と、会社の認知度向上を目指し、同フェアには毎年出品。第27回(2014年度)の「240面体」と第31回(2018年度)の「保育園用デザインシンク」で厚生労働大臣賞を2回受賞するなど、輝かしい受賞歴をほこる。

こうした実績は、同社の受注環境にも大きな影響をおよぼしている。大臣賞受賞ともなると地元のテレビ・ラジオ・新聞などで取り上げられ、それが新たな仕事の引合い・受注につながっていった。

昨年から今年にかけて取り組んできた「マスク金型の無償提供」と「レンタル事業のスタート」は、その斬新性から全国紙でも取り上げられ、注目度はさらに高まっている。

植木剛彦社長に話を聞いた。

板金加工作品のレンタル事業をスタート

― 2020年12月から板金加工作品のレンタル事業をスタートし、第一弾として「移動式ハートのオブジェ」を発表しました。経緯を教えてください。

植木剛彦社長(以下、姓のみ) 「ハートのオブジェ」はもともと、山口県・角島のレストラン兼宿泊施設「グランビスタ角島」から依頼を受けて製作したものです。カタチを変えて自社用にもう1個つくってみたのですが、ただ置くだけでは場所を取って邪魔になるので、キャスターを付けて簡単に移動できるようにしました。ステンレス製で、サイズはW160×D60×H200㎝です。

その後、地元・古賀市の異業種交流会で「古賀駅西口を活性化したい」と相談されたことがきっかけになり、クリスマスのイベントとして約1カ月間、駅前広場に設置することになりました。夜間はライトアップされ、若者を中心に撮影スポットとして話題になりました。

古賀市はもともとハート形に縁があります。古賀神社にはハート形の手水鉢があり、古賀市立歴史資料館では国内で初めて確認された玉虫装飾の馬具を展示していますが、この馬具「杏葉(ぎょうよう)」もハート形です。

このときの経験から、新しいサービスとして板金加工作品のレンタル事業を考えました。永久に設置するとなると話が大きくなりすぎますが、期間限定のレンタルであれば、イベントなどの集客で気軽にご活用いただけるのではないかと考えました。

― 「ハートのオブジェ」のほかにもレンタルできる作品はありますか。

植木 主に飲食店向けを想定して、ステンレス製の胡蝶蘭のレンタルもスタートしました。これは「第28回優秀板金製品技能フェア」(2015年度)の「造形品の部」で銀賞を受賞した作品です。サイズがW90×D70×H90㎝、5本立て60輪ほどの作品で、期間と料金は要相談となりますが、県内であればお届けします。

― 発表後の手応えはいかがでしょうか。

植木 何件か引合いをいただきました。しかし、折悪しく2度目の緊急事態宣言が発令され、イベントの開催が自粛されるようになったため、残念ながらすべてペンディングになってしまいました。緊急事態宣言が解除された後に、またお声がけいただければと期待しています。

  • 画像:コロナ禍の中、新たな取り組みを相次いで展開2020年12月からスタートしたレンタル事業の第一弾「移動式ハートのオブジェ」。古賀駅西口の駅前広場に約1カ月間設置され、撮影スポットとして話題になった
  • 画像:コロナ禍の中、新たな取り組みを相次いで展開ステンレス製の胡蝶蘭のレンタルも開始。写真は、植木次義相談役が平成29年秋の褒章で旭日単光章を受章した際に製作した金・銀・銅の胡蝶蘭

マスク金型の無償提供の経験を生かし、オンラインショップを開設

― 2020年6月にはオンラインショップを開設しました。

植木 「手作り布マスク用の金型」(以下、マスク金型)の無償提供の経験が、オンラインショップ開設のきっかけになりました。

昨年4月頃から、コロナ禍でマスクが極度の品薄になる中、当社の技術で少しでも感染予防の手助けをしたいと考え、手づくり布マスクを製作する際に便利なマスク金型を製作し、無償で提供しました。お客さまが負担するのは送料のみ。WebサイトやSNSでアナウンスすると、問い合わせが殺到し、新聞などでも紹介されました。最終的には全国1,000人以上の方へ2,500枚以上のマスク金型を提供しました。

この取り組みは、B to Cビジネスを模索していた当社にとって貴重な経験になりました。お客さまとのやりとりや梱包・発送のしかた、送料の支払い方法などを学ぶことができ、手応えを感じたので、時を置かずオンラインショップを開設しました。

現在は、マスク金型のほか、ドアノブ・ボタン・スイッチ類に接触しないためのアイテム、刺繍用金型、靴べら、バターナイフ、ベルトバックルなどをラインアップしています。

画像:コロナ禍の中、新たな取り組みを相次いで展開左:2020年4月頃からSUS304・板厚1.0㎜のマスク金型(右)を無償で提供。型紙のように布に当てて写し、裁断する/右:マスク金型を使って製作した手づくりマスク

会社情報

会社名
株式会社 ナダヨシ
代表取締役
植木 剛彦
所在地
福岡県古賀市青柳194
電話
092-944-4755
設立
1981年
従業員数
20名
主要業種
ステンレス・アルミ・スチール・チタンなどの精密板金・溶接・加工一式/厨房機器・医療機器・自動車パーツ・装飾品金物・その他
URL
https://www.nadayoshi.co.jp/

つづきは本誌2021年4月号でご購読下さい。

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