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「かきくけこ」でがんばりましょう!

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2021年が始まって2カ月が過ぎ、今さらながら時の流れの速さを感じます。

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大の「第3波」により、1都10府県に2度目の緊急事態宣言が発令され、飲食業界・運輸業界・宿泊業界・観光業界などのサービス産業に深刻な影響が出ています。予定されていた2月7日の宣言解除も、引き続き医療機関がひっ迫していることなどから、栃木県を除いた1都9府県で期間が1カ月間延長されることになりました。

民間の経済調査機関は、2021年1-3月期の実質GDPはマイナス成長に陥るものの、経済への影響は限定的なものとしています。2021年通年では、+8%前後の高い成長率が見込まれている中国と、バイデン新米国大統領が打ち出した新たな経済政策で+5%以上の伸びが見込まれる米国 ― 世界経済をけん引する「2大強国の経済成長」の恩恵により日本経済も+3%前後の成長が見込まれています。

ただ、板金業界に関しては、ここへきて2極化が進んでいます。2020年は、感染対策から「非接触」や「リモート」がキーワードとなり、情報通信分野が大きく伸びました。これまで期待されていたものの停滞気味だった5G関連需要が、コロナ禍の影響により一気に加速した感があります。それにともないスマートフォン、ゲーム機、PC、基地局、データセンターなどへの投資が活発化し、それが追い風となって業績好調な企業があります。

その一方で、工作機械などの生産財関連は設備投資の低迷で仕事が激減、受注も大きく落ちこみましたが昨年後半からは持ち直しの兆しも見え始めました。今年に入り、情報通信に加えて半導体の不足もあり、半導体製造装置・電子部品実装機なども好調です。

そして、今後期待されるのが「グリーンディール」(脱炭素化と経済成長を両立させる産業政策)に関連した産業です。自動車の電動化に対応する充電インフラのほか、発送電設備も風力発電や地熱発電、さらには電力の地産地消に対応する小型水力発電、太陽熱発電、温度差発電など、脱炭素社会の実現を目指すさまざまな分野に対して期待感が高まっています

政府は2020年度第3次補正予算で、新型コロナの影響の長期化を踏まえ、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応する中小企業などの事業再構築を支援するため、予算総額が1兆1,485億円にもおよぶ「中小企業等事業再構築促進事業」を実施します。対象となる中小企業・中堅企業には最大1億円の補助金が交付されます。これまでにない規模の思い切った大型事業で、交付対象企業の数も5万5,000社程度が想定されています。

補助金頼みは良くないとわかっていても、設備投資のインセンティブとしてはきわめて魅力的な施策です。ただし、成果目標として、事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3%以上の増加、または従業員一人あたり付加価値額の年率平均3%(一部5%)以上の増加を目指すことが求められています。きびしいハードルではありますが、ただ待っていても道は拓かれません。社会経済が大きく変わろうとしているときだけに、時には目をつぶって飛び込み、チャレンジする勇気も大切です。

過日、知り合いから教えてもらった素敵な言葉があります。デザイナーのコシノジュンコさんが仕事でも人生でも大切なこととして提唱している「かきくけこ」というもので、「か」は「感謝」、「き」は「希望」、「く」は「くよくよしない」、「け」は「健康」、「こ」は「行動」です。みなさんも「かきくけこ」でがんばりましょう!

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