そこが聞きたい ― 税の話

ついに「節税保険」に国税庁のメス

税理士 毛塚勝貴

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1.節税保険の販売自粛

2月中旬、保険業界で中小企業オーナー向けの商品として販売競争が激化していた「節税保険」が、国税庁の意向を汲み、ついに販売を自粛することになりました。国税庁が以前から問題視していた「節税保険」とは、前期と後期で保障内容が異なる形式の定期保険で、ピーク時の解約返戻率が8割超に設定されているような保険商品(右下の図を参照)です。このタイプの保険は、契約後、数年を経過した後、保障内容が変わる後期に入る手前の間で中途解約をすれば、払込保険料の多くを受け取ることができます。中小企業の決算対策のスキームとして、非常にありがたい商品でしたが、保険業界のセールスが、あまりにも度が過ぎていたのでしょうか、国税庁も規制せざるを得なくなったのでしょう。

本来、法人名義の定期保険は貯蓄性がないため、税務上、原則として支払保険料は期間の経過に応じて損金算入することとされています。ところが、事業者ユーザーが求める保険商品でニーズが高いものは、何と言っても「節税保険」でしょう。そして、この保険を巡って販売する側の保険業界と規制する側の国税庁との間で「いたちごっこ」が繰り返されています。例えば、「長期平準定期保険」と呼ばれるものは、保険期間の前半に支払う保険料のうちに、後半の保険料に充当する部分(前払保険料)が多額に含まれるため、貯蓄性が高いことから、「前期の支払保険料の一部を資産計上せよ」と、個別通達で規制したという経緯もあります。

つづきは本誌2019年4月号でご購読下さい。

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