そこが聞きたい ― 税の話

令和6年度税制改正(2) 中小企業向け改正点

税理士 毛塚勝貴

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1. 中小企業向け賃上げ税制

中小企業向けの措置については、適用要件や基本的な控除率(15%、30%)に改正はありませんが、赤字法人でも賃上げ促進につながるように、中小企業向け措置に限り、5年間の「繰越税額控除制度」が新たに設けられました。

だたし、この「繰越税額控除制度」は、繰越税額控除を適用する事業年度において、その前年より雇用者給与等支給額が増えていないと使うことができないという制約が付けられました。これは、赤字の事業年度において、「いったん繰越税額控除を確保できたら、あとは継続して賃上げをしない」という企業行動を防ぐための措置です。

今現在、すでに中小企業の6割が赤字企業であり、また、今後継続して賃上げ競争が見込まれるなか、果たしてどれだけの企業が、この繰越税額控除制度を使えるのか ― 多くのケースで繰り越し分を控除できずに切り捨て、無駄に終わってしまう可能性もあります。

つづきは本誌2024年3月号でご購読下さい。

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