「100億宣言」の次の一手 ― 「10億宣言」で変わる中小企業の成長戦略
株式会社 ゼロプラス 東岡山事務センター
「100億宣言」は1年で3,000者超に拡大 ― その広がりと課題
7月号では、売上高100億円の達成に向けて、経営者みずからが成長戦略を対外的に公表する「100億宣言」をご紹介しました。2025年5月に制度が始まり、2026年5月時点で宣言企業は約3,100者にのぼります。中小企業庁の推計では、売上高100億円を超える企業は全国に約4,500者存在するとされ、同庁は2034年度までにこれを1万者(約5,500者増)へ拡大する方針を示しています※。
同庁の資料では、企業の成長を「売上高1億円」「10億円」「100億円」という段階で捉える考え方が示されています。実際、東京都のある製造・販売業は、かつて売上高4億円台で足踏みしていたものの、自社ブランドの確立や人材育成に取り組んだ結果、「40億円の壁」を越えて現在は売上高110億円に達したという事例も紹介されています。売上高1億円から100億円まで、企業は段階ごとに異なる壁に直面するというのが同庁の見立てです。
一方、宣言企業は対象全体の中ではごく一部であり、「売上高100億円という目標は、自社にとって規模が大きすぎる」と感じる中小企業も少なくありません。そこで、まずは売上高10億円を目指す「10億宣言」の創設に向けた検討が進められており、中小企業庁の資料でも、今年度から「10億企業」の創出メカニズムの構築に着手する方針が示されています。
今月号では、この「10億宣言」について、「100億宣言」とのちがいを踏まえながら、その概要や補助金との関係について解説していきます。
「10億宣言」とは何か
「10億宣言」とは、売上高1億~10億円規模の中小企業が、「売上高10億円規模への成長を目指す」という目標を掲げ、その実現に向けた取り組みを宣言・公表することで、補助金や経営支援を集中的に受けられる制度として検討されています。
基本的な考え方は「100億宣言」と共通しており、具体的には、以下の項目について宣言することが想定されています。単に売上高10億円という「努力目標」を掲げるだけではなく、経営者自身のビジョンや成長戦略などを明確にし、地域金融機関の伴走支援を前提とした「公的な目標」を掲げる点が特徴です。
- 現在想定されている宣言項目
① 経営者のビジョン
② 事業価値の磨き上げ
③ 経営基盤の構築
④ 地域経済への貢献
⑤ 金融機関の伴走支援方針
※ 中小企業庁「労働供給制約社会における中堅・中小企業の「稼ぐ力」強化戦略(案)に伴う政策の見直しについて」(2026年5月20日)
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