特集

積極投資で飛躍をはかる中四国の板金企業

3年先、5年先の仕事が見える造船業界にものづくりで貢献

顧客ニーズに対応した正確で丁寧な仕事を実践

四国クレー 株式会社

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画像:3年先、5年先の仕事が見える造船業界にものづくりで貢献2022年に導入したファイバーレーザマシンVENTIS-3015AJ+AS-3015TFS

造船関連の仕事が売上の大半を占める

画像:3年先、5年先の仕事が見える造船業界にものづくりで貢献濵口保志社長

四国クレー㈱は1962年に黒河稔会長が農薬用増量剤の製造事業を開始したのがスタート。もともと火薬などの原料となる硝石を採掘する鉱山を所有、採掘の仕事に携わってきた。その後、農薬の稀釈目的に使用する物質である増量剤として、天然産粘土鉱物が着目され出すと、黒河会長はそこに目を付け、1963年頃から増量剤製造事業を開始した。社名は粘土を「クレー」と呼ぶことに由来している。

その後もさまざまな事業を手がける中で、1991年にシャーリングマシンを導入して鋼材切断の事業を開始。西条市に本社のある物置や台所収納棚などのメーカーから仕事を受注するようになり、シャーリングマシンも3台に増設した。2000年には造船関連の舶用板金製品の仕事に対応するため、パンチングマシン、ベンディングマシンなどを導入して精密板金加工事業を開始。これを契機に造船関連の仕事が売上の大半を占めるようになった。

顧客に喜ばれるビジネススタイルに変えていく

この頃に黒河会長の娘と結婚し、神戸に住んで阪神・淡路大震災を経験した濵口保志社長が入社した。これを契機に同社の事業は大きく変化していく。

それまで大手食品メーカーのプロパーとして、営業一線で活躍していた濵口社長は、板金業界の「受注ありき」で、価格や納期は受注後に打ち合わせる営業スタイルに疑問を感じた。食品業界では何よりもQ,C,Dが重視され、顧客ニーズを満足させることが求められる。そこで、顧客に喜んでもらえる体制に変化させていくために、見積り段階からスピードと正確さ、丁寧さを追求、受注した製品の品質・納期を厳守した。その結果、今治市に本社のある船舶の総合電機メーカーからの仕事や他業種からの仕事が増えていった。

  • 画像:3年先、5年先の仕事が見える造船業界にものづくりで貢献レーザマシンLC-2415αⅤ
  • 画像:3年先、5年先の仕事が見える造船業界にものづくりで貢献ベンディングマシンHRB-1303

新工場と積極的な設備導入で加工能力を強化

2011年には新工場が完成してレーザマシンLC-3015F1NT、2012年にはレーザマシンLC-2415αⅣNT、2015年には「省エネ補助金」により、パンチングマシンEMZ-3510MⅡを導入するなど、生産能力を増強していった。2017年には「東予インダストリアルパーク」内に新工場が完成、本社工場を全面移転するとともに濵口社長による新体制が誕生した。

そして、2016年度補正「ものづくり補助金」に採択され、EMZ-3510MⅡにサイクルローダーシステムおよびマシンの稼働管理システムを導入した。これによって、舶用の配線ケーブルトレイの生産能力を増強、長時間の連続稼働ができるようになった。

舶用の配線ケーブルトレイを生産

「船はディーゼルエンジンで航行しますが、その他船内の動力は電気なので船内には電気配線が縦横に走っており、配線ケーブルトレイが大量に必要になります。溶融亜鉛めっき鋼板を使って加工されるトレイの鋼材重量は、コンテナ船など大型船で40~50トンになります。造船所は船主から船を受注する場合、同じ仕様の船を5~6隻、多い場合は2ケタ単位のシリーズで受注するので、1件のシリーズを受注すると大変な数のトレイを加工する必要があります」。

「当社はそのトレイの全量を、メーカー様製番で受注できるようになり、現在ではEMZで毎月50~70トンを加工しています。ケーブルトレイのほかに中継器、ラックなどを一式で受注することもあります。抜き終われば曲げが必要になるので、ベンディングマシン2台をトレイ専用としています。そのうちの1台はHRB-1303で、専用金型搭載機として2023年に導入しました」(濵口社長)。

  • 画像:3年先、5年先の仕事が見える造船業界にものづくりで貢献ハンディファイバーレーザ溶接機FLW-600MTが設置されているパーテーションルーム
  • 画像:3年先、5年先の仕事が見える造船業界にものづくりで貢献舶用の配線ケーブルトレイ

会社情報

会社名
四国クレー 株式会社
代表取締役
濵口 保志
所在地
愛媛県西条市北条962-64
電話
0898-76-1036
設立
1962年
従業員数
36名(常勤役員含め38名)
主要事業
精密板金および製缶加工、レーザ加工、パイプ曲げ加工、シャーリング切断
URL
https://shikoku-clay.com/

つづきは本誌2025年4月号でご購読下さい。

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