研究室訪問

サーボプレスで微細中空構造の量産を実現する精密拡散接合技術の開発

大阪工業大学 工学部 機械工学科 マイクロ流体力学研究室 横山 奨 講師

LINEで送る
Pocket

社会に役立つ新たなデバイスの開発を目指す

画像:サーボプレスで微細中空構造の量産を実現する精密拡散接合技術の開発横山奨講師(下段左)と、「マイクロ流体力学研究室」の院生・学生たち

大阪工業大学 工学部 機械工学科 マイクロ流体力学研究室の横山奨講師の研究テーマ「サーボプレスを用いた微細中空構造の量産を実現する精密拡散接合技術の開発」が、天田財団の2023年度「重点研究開発助成」に塑性加工分野で採択された。

横山講師は、各種微細加工技術や光学顕微鏡などを用いてマイクロ流体の利点・欠点を学術的に理解し、既存の問題の解決や社会に役立つ新たなデバイスの開発を目指した研究を行っており、新たなマイクロ流体デバイスの製造技術として精密拡散接合技術の開発に取り組んでいる。

卓上拡散接合装置の開発

2021年4月には、サーボプレスを採用した高分子樹脂製マイクロ流体デバイス用卓上拡散接合装置を開発。旧型装置では実現が難しかった加圧精度の向上、データロガー機能の追加、圧力制御の自動化、タッチパネルによる接合条件のワンタッチ呼び出しを実現した。新型装置により接合品質の向上も実現し、3層構造の高分子樹脂製マイクロ流体デバイスの量産に成功した。3層構造にすることで、流路機能を中間層に集約可能となり、レーザ加工による安価な流路形成や、フィルムを用いたフレキシブルなマイクロ流体デバイスの実現が期待できる段階に到達している。

すでに、蛇行流路を有するアクリル(PMMA)樹脂製マイクロ流体デバイスを複数試作しており、マイクロ流体デバイス上でのPCR(On-Chip PCR)の実現に向けて、デバイス上でサーマルサイクルを実現した。フィルム同士の接合にも着手しており、100㎛前後のフィルム同士を接合し、密着することに成功している。また、各種研究用マイクロ流体デバイスへの発展も進めており、3層構造の高分子樹脂製マイクロ流体デバイスの応用として、中間層に透析膜を挟んだ透析デバイスを実現している。

  • 画像:サーボプレスで微細中空構造の量産を実現する精密拡散接合技術の開発デバイス作製に使用する3Dモデリングマシンを説明する横山講師
  • 画像:サーボプレスで微細中空構造の量産を実現する精密拡散接合技術の開発マイクロ流体デバイス作製用の鋳型

つづきは本誌2025年5月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

研究室訪問記事一覧はこちらから