積極投資で飛躍をはかる中四国の板金企業
23歳で起業、以来19年で大きく成長
好調な船舶機器の受注に対応した設備投資を継続
株式会社 ワンズファクトリー
2023年に導入した平板・パイプ兼用ファイバーレーザマシンENSIS-3015RIe+LSTRI-3015E
23歳の若さで創業 ― ゼロからのスタート
天野靖之社長
㈱ワンズファクトリーは当時23歳だった天野靖之社長が2006年に設立し、今年で創業19年をむかえた。両親が営んでいた溶接工場が父親の急逝で整理を迫られる中、工場で働いていた従業員3名を引き受け、経理を手伝ってくれる母親も含めた5名で始まった。
「父は溶接工としての腕は確かで、地元のボイラーメーカーなどから材料などを支給してもらい、溶接作業だけの工賃仕事をやっていました。別の職場で金属加工の仕事に携わっていた私は父が亡くなったあと、事業承継も考えましたが、一国一城の主を目指すならゼロから始めたいと、起業を決意しました。しかし、23歳の私に開業資金を貸してくれる銀行はなく、親戚、知り合いから借金して開業しました」(天野社長)。
設備もなく、つてを頼りながら、ひろい仕事でやりくりしていった。2008年のリーマンショックの際には仕事がなくなり廃業も考えたが、何とか苦難を乗り越えられたという。
特に父親も世話になっていたボイラーメーカーから、船舶向けボイラー部品、舶用造水装置、船上焼却炉などに使われる製缶板金部材の加工を受注できるようになった。そのほかにも仕事を広げることができ、食品機械メーカーからは、食品の製造では欠かすことのできない高温・低温の殺菌装置、品質保持に必要不可欠となる冷却装置関連を受注。加えて最近は商業施設や病院のサイン、看板、電力・土木・地質調査・農林業向けモノレールなどに使われる部材加工の仕事を手がけるようになった。さまざまな仕事が増えるたびに社員も増え、現在は36名になった。売上についても順調に成長している。
ベンディングマシンEG-4010(奥)、HD-1303NT(手前)
ファイバーレーザ溶接機FLW-1500MT+CR-700W(協働ロボット)
「若さゆえに大胆な挑戦ができた」
「23歳という若さゆえ、リスクを感じず大胆な挑戦ができたことが良かったのだと思います」と天野社長は振り返る。
創業当時は伊予郡砥部町の貸工場でスタート、2007年には松山市平田町に移転。2010年には市内勝岡町に第2工場を設け、保温材を金属製のカバーで覆うことで、保温効果の維持や外部からのダメージを防ぐ「保温ラッキング」の仕事を始めるようになった。そして、事業拡大に対応して、現在の本社工場のある市内庄甲の敷地1,000坪の工場に移転、本社・第2工場を統合移転した。
2014年に5´×10´材4枚を搭載したまま、加工を連続して行うことができる中古の自走式レーザマシン(2kW発振器搭載)、2015年にベンディングマシンHD-1303NT、2016年に4本ロールベンダー、2016年に溶接ロボットを相次いで導入していった。2017年には発振器出力が2kWと低出力で、対応可能な板厚は16㎜までだったこと、経年劣化による故障が増えてきたことから、中古の自走型レーザマシンをレーザマシンFO-3015NTに入れ替えた
ENSIS-RIeにより加工した鋼材で製作した架台
架台フレーム・タンクの製作・周辺配管・配線をワンストップで加工する
会社情報
- 会社名
- 株式会社 ワンズファクトリー
- 代表取締役
- 天野 靖之
- 所在地
- 愛媛県松山市庄甲75
- 電話
- 089-992-3688
- 設立
- 2006年
- 従業員数
- 36名(技能実習生を含む)
- 主要事業
- レーザ加工、プレス加工、ロール加工、各種板金・製缶加工を主体とする部品および製品加工、食品機械組立、機械器具設置工事、配管工事、保温ラッキング工事、吹きつけ塗装
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