設計・加工・工事・メンテナンスまで一貫サポート
大手自動車部品メーカーの工場設備向け保全部品加工・設備工事がメイン
株式会社 コウエイ
自動車部品の生産ライン・専用機向け部品加工・設備工事がメイン
愛知県半田市にある㈱コウエイは、大手自動車部品メーカーの工場設備向け保全部品(板金・製缶)の設計・製作・施工、自動車部品生産用の専用機の板金部品製作を手がけている。主力得意先は大手自動車部品メーカーのグループ企業で、売上全体の95%以上を占めている。このグループ会社は専用機の設計・製作・改造・工事などを担っており、同社は板金・製缶関係のトップサプライヤーという位置づけになる。
最大の強みは、要求仕様のヒアリングから現場での原寸採り、現物合わせからの設計、部品加工(板金・製缶)、設備工事、機械メンテナンスまで一貫して行い、トータルサポートを行っていることだ。
大手自動車部品メーカーの中には保全課があり、日常的な設備保守を行っているが、社内で対応できないレベルの工事が必要になると同社に依頼が舞い込んでくる。計画的な保守・メンテナンスの一環で工事を行う場合もあれば、生産品目が変更になったりライン構成の一部が変更になったりして、急きょ改造が必要になる場合もある。
必要になる部品は工事の内容によって変わるため、ほぼすべてが一品一様。得意先から図面を受け取るケースもあるが、近年は図面がない状態でオーダーが入り、同社の設計者が現地へ赴いて現場で寸法取り、現物合わせで設計から現場工事まで一貫対応するケースが増えている。
しかも、ライン稼働の可否に直結することから、部品製作も設備工事も、常に迅速かつ柔軟な対応が必要になる。特に、工事完了後に行われるテスト稼働と安全検査で不具合が出た場合などは、緊急対応が求められることになる。
同社は創業以来、顧客満足度を徹底して追求し、納入先の自動車部品メーカー、発注元のグループ企業と揺るぎない信頼関係を築き上げてきた。新規の競合他社が低コストを武器に参入してくることもあるが、意思疎通がうまくいかなかったり、中途半端に仕事を切り上げたりすることが多く、最終的には同社が後処理を引き受けることになり、かえって同社の信頼を高めることにつながっている。
部品加工の外注費と納期対応が課題に
今年50歳になる菊地智玲社長は、足もとの業績について「2020年の春から秋にかけては、新型コロナウイルスの影響により自動車業界全体が大幅な減産を強いられました。当社も2020年4月から9月までの約6カ月間は大きく低迷し、通期でも40%強の減収となりました」。
「設備工事の案件はほとんど止まらず動いていたのですが、設備保全関連の部品製作の仕事は極端に落ち込みました。板金・製缶のメンバーは半日で仕事が終わってしまう日が続き、雇用調整助成金などを活用しながら回復を待ちました。2020年秋以降は徐々に上向いてきていて、これ以上落ちることはないだろうと見込んでいます」と語っている。
菊地社長は、前職で板金・製缶を手がける地元の金属加工企業に勤め、2006年に35歳で独立。菊地社長、奥様、従業員1名の計3名で同社を立ち上げた。
創業直後から大手自動車部品メーカーの設備工事の仕事を手がけるようになり、創業翌年の2007年にはシャーリング、コーナーシャー、ベンディングマシン、セットプレス、溶接機などの加工設備を導入して、部品加工から設備工事まで一手に引き受けるようになった。創業6年目の2012年には、半田市の区画整理により現在地(敷地面積100坪)へ移転し、業容を順次拡大していった。
事業が軌道に乗ると仕事量が大幅に増え、部品加工と設備工事の両立が難しくなったため、設備工事に専念し、部品加工は外注で対応するようになった。その結果、多いときには外注費が売上の40%ちかくを占めるまでになった。
コスト以上に深刻なのが納期対応だった。現場工事の段階になって部品がうまく合わないことはしばしばあり、そのたびに部品の追加工や再製作を行う必要が生じていた。工事が完了しないと生産設備を稼働できないため、特急で代替の部品を手当てしなければならないが、外注ではそこまでの特急対応は望めず、ボトルネックになっていた。
こうした状況を踏まえ、菊地社長は板金加工の設備増強に踏み切り、内製化を目指していくことを決断した。
会社情報
- 会社名
- 株式会社 コウエイ
- 代表取締役
- 菊地 智玲
- 所在地
- 愛知県半田市岩滑東町1-116
- 電話
- 0569-23-4211
- 設立
- 2007年
- 従業員数
- 7名
- 事業内容
- 設計・製作・製缶・板金・機械加工・安全カバー・組付・機械メンテナンス・産業用機械製作
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