特集

第34回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介

既存設備で工夫し、金型を製作 ― 熟練の技術で均一な仕上がりを実現

「プリズム段押し鉢植え」が「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞

株式会社 ナダヨシ

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画像:既存設備で工夫し、金型を製作 ― 熟練の技術で均一な仕上がりを実現①「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞した「プリズム段押し鉢植え」(SUS304・板厚1.2㎜、W250×D250×H250㎜) /②型押しで製作したプリズムは均一な仕上がりになった

卓越した技能で独自の手法を開拓

「第34回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「造形品の部」に出品した㈱ナダヨシ「プリズム段押し鉢植え」が、「卓越する技能を用い、独自の手法を開拓したと思われる作品」に授与される「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞した。

加工技術のプロフェッショナル集団

画像:既存設備で工夫し、金型を製作 ― 熟練の技術で均一な仕上がりを実現表彰状と盾を持って全社員で撮影した記念写真。前列左から4人目が植木剛彦社長、右端が作品の製作を担当した高橋浩さん

同社は長崎県の「諫早職業訓練所」で金属加工の基礎を学んだ植木次義相談役が、教員から「将来は需要の出るステンレスに特化した仕事をした方が良い。少しのスペースと溶接機があれば一国一城の主になれる」とアドバイスを受け、福岡県内の厨房設備会社で修業したあと、1981年に34歳で「灘吉厨房設備㈲」として設立した。社名の「灘吉」は、故郷の長崎県南高来郡吾妻町(現・雲仙市吾妻町)で操業していた父親の砂利運搬船「灘吉丸」から採った。1991年には社名を「㈲ナダヨシ」に変更、2003年には株式改組した。

植木剛彦社長は「当社は厨房設備、医療機器、空気清浄機、トラック部品、装飾品金物が主力で、ステンレス、アルミ、スチール、チタンの精密板金加工、溶接加工などに自信があります。工場板金技能士の1級、2級、溶接資格など複数の資格を持った社員が在籍する加工技術のプロフェッショナル集団となっています」と語っている。

  • 画像:既存設備で工夫し、金型を製作 ― 熟練の技術で均一な仕上がりを実現「プリズム段押し鉢植え」の3次元モデルと三面図
  • 画像:既存設備で工夫し、金型を製作 ― 熟練の技術で均一な仕上がりを実現三角形に切断されたプリズムの金型

板金フェアには技術・技能の研さんと認知度向上のために参加

同社は創業以来、一貫してステンレス板金溶接加工の仕事に関わり続けており、板金フェアの応募作品にもすべてSUS304を使用している。

板金フェアには社員の技術・技能の研さんと会社の認知度向上のため、第18回(2005年度)以降、毎年参加している。第22回(2009年度)では「宝箱(樹脂成形金型1/2サンプル)」が「溶接を主体とする組立品の部」の金賞と「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞。第25回(2012年度)では「幼稚園用手洗いシンク(1/3ミニチュア)」が「高度溶接品の部」の金賞を受賞。第27回(2014年度)では「単体品の部」に出展した「240面体」が「厚生労働大臣賞」、第30回(2017年度)では「ステンレス薔薇花束」が「造形品の部」の金賞、第31回(2018年度)では「保育園用デザインシンク」が同社2度目となる「厚生労働大臣賞」を受賞。第33回(2020年度)では「桜球(さくらだま)」が「単体品の部」のグランプリを受賞するなど、上位賞やグランプリ(金賞)をたびたび受賞している。

  • 画像:既存設備で工夫し、金型を製作 ― 熟練の技術で均一な仕上がりを実現セットプレスを使って最適な圧力値を探りながら成形加工を行った
  • 画像:既存設備で工夫し、金型を製作 ― 熟練の技術で均一な仕上がりを実現下段左がプリズムの雌型(ダイ)、下段右が雄型(パンチ)、上段右がプレート、上段左が型押しで製作されたプリズム

会社情報

会社名
株式会社 ナダヨシ
代表取締役
植木 剛彦
所在地
福岡県古賀市青柳194
電話
092-944-4755
設立
1981年
従業員数
20名
主要事業
ステンレス・アルミ・スチール・チタンなどの精密板金・溶接・加工一式/厨房機器・医療機器・自動車パーツ・装飾品金物・その他
URL
https://www.nadayoshi.co.jp/

つづきは本誌2022年5月号でご購読下さい。

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