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感染対策と経済活動の両立が最大の課題

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2022年新春がスタートしました。年末から年始にかけて太平洋沿岸ではおおむね青空が広がる好天に恵まれましたが、日本海沿岸から東北・北海道では大雪となり、各地で例年を上まわる降雪が記録されました。新潟のお客さまが仕事始めに工場周辺を撮影した写真をアップされていましたが、大変な積雪となっており、駐車場をはじめ工場敷地内の除雪作業の大変さが想像されました。

2022年の経済動向に関しては見方が二分しており、「オミクロン株」の市中感染が拡大し、新型コロナウイルスの感染拡大「第6波」が経済活動に与える影響をどう評価するかで大きく異なっています。

ネガティブな評価では、感染拡大を防止するために昨年のような「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が発令されれば経済活動に重大な影響をおよぼすとして、経済成長率も2.5%前後と控えめに見ていました。

その一方で、ポジティブな評価では、3回目のワクチン接種やPCR検査の無料化が加速し、接種証明や陰性証明を提示することで行動の自由やイベント開催などを容認する「ウィズコロナ」の考えのもと、感染対策と経済活動の両立ができるような対策が講じられれば、経済成長は3.7%前後になると見ています。

「オミクロン株」の感染力はこれまでの「デルタ株」などと比較すると3倍程度強いものの、重症化リスクは低いとされています。そうであるならば、感染防止対策を徹底し「3密」を回避すれば一定の効果は得られるはずなので、ゆるやかな規制にとどめ、経済活動を優先した対応をとることが必要だと思います。

政府はコロナ禍で国民1人あたり10万円給付、子育て世帯への臨時特別給付金をはじめとして、2020年度だけで総額77兆円という巨額の予算を投じています。単純計算で国民1人あたり61万円にもなります。

むろんその使い道に関してはムダもあり、今後十分な検証が必要かと思われます。財源の多くが国債発行に頼っているのが実態で、次世代への「負の資産」の積み増しになっています。感染防止の規制を昨年同様に強化すれば休業補償、雇用調整助成金をはじめとした財政支出がさらに増加することは明らかです。感染防止対策を徹底し、規制をゆるやかにして経済活動を活発にさせることが肝要だと思います。

日本経済はバブル崩壊後30年以上にわたって経済成長率、物価の上昇率も低いデフレ経済に陥っています。給与所得者の賃金上昇率は先進国の中でも際立って低く、個人消費の伸びにも勢いがなく、将来への不安から個人貯蓄だけが増えるという「負の連鎖」に陥っています。労働者1人あたりの労働生産性も低く、あらゆる分野で活動が停滞しています。それだけにコロナ禍は、日本経済の脆弱性をさらに際立たせています。ここでまた、経済活動が停滞するようなことになれば、さらに「負の資産」は大きくなると思います。

今年は7月に参議院選挙が行われるために政府与党、野党も選挙対策で有権者に耳あたりの良い公約を掲げてくるはずです。その中では国民の命を守るためにコロナ対策を徹底するという名目で、再び規制強化策が打ち出される可能性があります。しかし、「ウィズコロナ」という新たな時代に向かうためにも、ここは感染対策と経済活動を両立させるために、3回目のワクチン接種を加速させ、PCR検査無料化の拡大など、安心して経済活動ができる環境づくりを徹底することが最も重要なことだと思います。

欧米ではそうした考え方が徹底され、1日あたり20万人、100万人と感染者が増加してもウィズコロナ政策を堅持しています。日本も考え方を一新する必要があります。

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