第32回優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介
2年連続の上位賞受賞を果たす
「ねじりパイプ改」で「日本塑性加工学会会長賞」を受賞
株式会社 佐藤医科器械製作所
前回の経済産業大臣賞に続き上位入賞
「第32回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「単体品の部」に出展した㈱佐藤医科器械製作所の「ねじりパイプ改」が「日本塑性加工学会会長賞」を受賞した。同社は前回の板金フェアで、今回の作品の原型となった「ねじりパイプ」を出品し、「経済産業大臣賞」を受賞。今回は前回の受賞作品をさらに高度に進化させた。
今回の作品づくりのプロジェクトは、昨年受賞作品を製作した技術グループの冨田繁行課長、西尾真人さんに、新たに生産部の西村将司さんが加わった3名が担当した。
前回に続き製作チームのリーダーを務めた冨田課長は「会社方針として板金フェアに毎年出展することが決まっており、私たち技術グループのミッションになっていました。第30回(2017年度)、第31回(2018年度)と連続して応募し、第30回は『技能賞』でしたが、第31回ではいきなり『経済産業大臣賞』を受賞しました。今回はその次なので、大きなプレッシャーになっていました」。
「今回は、2019年5月頃に社内公募で参加者やアイデアを募集し、生産部の西村が手を挙げました。作品製作は業務時間外に行わなければならず、仕事も繁忙期だったため、以後の応募者はなく、9月過ぎに私と西尾に西村を加えた3人で応募チームを編成しました」と経緯を語る。
「前回やり残した課題」にチャレンジ
チームは発足したものの、応募作品のテーマに関しては明確なアイデアが出てこない状態が続いた。そこで、冨田課長や西尾さんは、前回「経済産業大臣賞」を受賞した「ねじりパイプ」の製作段階で、どうしてもやりたいと考えていた「ねじりパイプ」を円錐形に変形する「ねじりパイプ改」の製作を決めた。
「前回の表彰式で、審査委員の大学の先生から『パイプの内部を通るガスや粉体の流れをスムーズにするのに役立つ、これまでにはない蛇腹製品として、さまざまな工業分野への展開が期待できる』と機能面を高く評価されました。流れを意識すると、円筒よりも円錐形の方がより産業用として用途があると感じていたので、この形状に決めました」(冨田課長)。
技術グループの西尾真人さんは「私がSheetWorksを使って3次元モデルを作成しましたが、『このモデルから展開図をつくれるのか』と不安でした。ねじれた面ができると、CADが面として認識できなくなるので、展開ができません。そこで、ねじれないように工夫しながらモデルを作成し、面を認識させてなんとか扇型をした展開図ができ上がり、レーザ切断でブランク材を製作しました。ところが今度は、それを1台のベンディングマシンで曲げることができるか、心配になりました」と語る。
会社情報
- 本社
- 株式会社 佐藤医科器械製作所
- 代表取締役
- 佐藤 進平
- 住所
- 京都府京都市中京区西洞院通御池上ル押西洞院町606
- 滋賀工場
- 滋賀県野洲市野洲1515-1
- 野洲工場
- 滋賀県野洲市野洲1333-1
- 電話
- 077-587-1081
- 設立
- 1962年(1907年創業)
- 従業員数
- 80名
- 主要製品
- 計量装置、検査装置、食品小売り分野の包装機、充填機、質量選別機、印字機、外観検査機、ステンレス板金加工部品など
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