板金論壇

吉か凶か ― 予測不能な未来

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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ハードからソフトへ転換する製造業

ノーベル化学賞を受賞した旭化成の名誉フェロー、吉野彰さんのインタビュー記事「このままでは自動車会社は下請けに」(日経ビジネス)に大きな衝撃を受けました。

自動車の電動化に欠かすことができないリチウムイオン電池の開発者の率直な発言だけに、「2025年以降はAIEV(人工知能が運転する無人自動運転の電気自動車)がマイカーにとって代わるだろう」という予測にショックを受け、「業態転換すればいいのです。ハードではなくソフトに。もう製造業だと思っていてはダメでしょう」という言葉にとどめを刺された気がしました。

「製造業のサービス業化」

ここ数年、「製造業のサービス産業化」ということがさかんに言われてきました。経営学でよく使われる「スマイルカーブ」で表現すれば、製造業の上流から下流の工程を川上・川中・川下とした場合、川上の素材・設計(機能・性能)と、顧客に近い川下のサービス・ソリューション部門の付加価値が高く、川中の生産・組立は付加価値が低いといわれています。そのため、生産・組立を行う製造業界は川上か川下にビジネスを拡大していかないと付加価値がなくなってしまう ― というわけです。

IoTの活用・普及が加速する中では、顧客とつながることで川下に展開しやすくなっています。それだけになおさらサービス・ソリューションに力を入れるべきで、生産・組立だけにとどまっていてはいけないといわれています。

そんなさなかに発せられた吉野さんの言葉が持つ意味合いは大きいと思います。

つづきは本誌2019年12月号でご購読下さい。

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