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令和の幕開けで、経済は上向く?

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平成が終わる4月30日の関東地方は、終日激しい雨となりました。令和元年の幕開けとなる翌日も引き続きの雨模様かと思われましたが、朝には雲の合間から陽光が差し、あたかも新しい年が拓けゆくのを慶ぶ天の采配であるかのように思えました。午後からは生憎の雨になりましたが……。

しかし、「雨降って地固まる」の諺(ことわざ)にもあるように、自然災害が多かった平成の時代が終焉を迎え、令和となって雨が止んで地が固まれば、もっと強固で「安全・安心」な時代に希望をつなげられるので、「改元前後の雨もまた良し」の心境です。

ところで、連休が明け、令和元年の経済はどのように変化していくのでしょうか。メディアがさまざまに令和の時代を予測していますが、直近の景気動向は厳しさを増しています。

米中貿易摩擦は交渉が行き詰まり、米国は中国からの輸入品2,000億ドルに対する関税をこれまでの10%から25%に引き上げました。これに対して中国も米国からの輸入品600億ドルに対して10%の関税を25%に引き上げ、報復関税の応酬が続いています。

今年6月に日本で開催されるG20に合わせて米中首脳会談が予定されるようなので、両国の冷静な交渉で解決の糸口を見出してほしいと思います。この交渉の結果次第では、第1四半期は回復の兆しを見せていた中国経済も、二番底に落ち込む危険性をはらんでいます。これにより、世界経済には再び厳しさが増す気配となっています。

また、米国によるイラン制裁が強化され、イラン産原油の輸入禁止が日本にもおよぼうとしています。さらに、サウジアラビアとイランの関係、イスラエルとパレスチナの関係もきな臭さを増してきています。

一方で、英国のEU離脱期限を10月31日まで再延期することが合意され、経済・社会に混乱をもたらす「合意なき離脱」をひとまず回避し、秩序ある離脱に向けた時間を確保する流れができましたが、この問題にも出口が見えていません。株価もこうした環境を判断材料に乱高下しており、世界経済の先行きに不安が増してきました。

一方で心強いのが半導体業界に回復の兆しが見えてきたことです。インテルは、2019年の年明けから14ナノラインの増強に着手しており、今年7月からCPUの供給が増えるもようです。また、10ナノラインの構築を進めており、成功すれば、今年のクリスマス商戦に向けてCPUの供給が増えると予想されています

こうした報道に連動して国内の半導体製造装置メーカーは、今年後半からサプライヤーに発注する仕事量を増やすという情報も伝えられています。半導体製造装置向けの板金サプライヤーの多くが、昨年から工場増設工事を進めており、装置メーカーからの増産要請に対応する準備を整えています。

また、森ビルが昨年12月に発表した「東京23区オフィスニーズに関する調査」によると新規賃借予定のある企業は増加傾向で、うち60%以上が面積拡大を予定しているとしており、都心の再開発事業を始めとしてオフィスビルの建設市場は引き続き堅調となっています。

さらに一般財団法人建設経済研究所が4月24日に発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」によると、2018年度の日本の建設投資総額は56兆7,400億円で前年度比1.3%増、2019年度は57兆9,100億円で同2.1%増が見込まれており、プラス成長となっています。

このような最近発表された経済指標や業界情報から判断すると、2019年度下期以降には景気回復が着実に進むものと考えられます。

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