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2019年版「中小企業白書」・「小規模企業白書」

今こそ中小企業に求められる事業承継とデジタル化社会への自己変革

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2019年版「中小企業白書」「小規模企業白書」を公表

政府は4月26日、2019年版「中小企業白書」「小規模企業白書」を閣議決定し、公表した。今回の白書では、令和時代を迎えるにあたって求められる、経営者の円滑な世代交代や、経済・社会構造の変化に合わせた自己変革の取り組みについて、下記のポイントを中心に、113の豊富な事例を交えながら分析を行っている。

画像:今こそ中小企業に求められる事業承継とデジタル化社会への自己変革従業員規模別に見た、IoT・AIの導入状況(2017年)

2019年版「中小企業白書」のポイント

第1部では、最近の中小企業の動向について、中小企業の経常利益が昨年に引き続き過去最高水準にあり、景況感も改善傾向であることなどを示した。また、中小企業の財務や開廃業、人手不足などについて分析を行った。

第2部では、経営者の高齢化を踏まえ、引退する経営者や、新たに経営者になる者について、現状や課題などの分析を行った。

①事業承継や廃業にともなう経営資源の引継ぎについて、とくに引退する経営者に着目して分析。若い世代への事業承継が企業の業績にプラスの影響を与えること、事業承継や経営資源の引継ぎのためには早めの準備が必要であることなどを明らかにした。
②起業や事業承継により、新しく経営者になる者に着目して、分析。経営資源を引継いでの起業や事業承継の際の課題や取り組み、売上高の成長や雇用の拡大を志向する企業の傾向などについて示した。

第3部では、社会が大きく変化する中で、中小企業・小規模企業の経営者に期待される自己変革や、周囲の関係者との関わり方の再構築について、検討材料を提供。また、その典型例として、災害対策について分析を行った。

①人口減少やデジタル化、グローバル化といった経済・社会構造の変化の中で、中小企業や小規模企業の経営者がどのように行動変容すべきか、また、ステークホルダー(中小企業や小規模企業を取り巻くさまざまな関係者)との関係をどのように再構築していくべきか、データや事例を用いてヒントを示した。
②近年多発している自然災害における中小企業の被災や復旧の状況を分析し、災害に関するリスク把握や損害保険加入を含む事前対策の進捗や、実施にあたっての課題などについて示した。

2019年版「小規模企業白書」のポイント

第1部では、最近の小規模事業者の動向について、小規模事業者の経常利益がゆるやかに増加する傾向にあることなどを示した。

第2部では、経営者の高齢化を踏まえ、引退する経営者や、フリーランスや副業として新たに経営者になる者について、現状や課題などの分析を行った。

①事業承継や、廃業にともなう経営資源の引継ぎについて、引退する経営者に着目して分析。とくに、個人事業者にとっての事業承継に際しての課題について、個人事業者と小規模法人の比較を通じて明らかにした。
②フリーランスや副業として起業する際の利点や課題について分析。一般的な形態で起業する場合と比較して、開業費用が低いことや、フリーランスとして起業して従業員を雇用するに至る者や、副業として始めて本業に移行する者が、一定数存在することを明らかにした。

第3部では、近年多発している自然災害における小規模事業者の被災や復旧の状況を分析し、災害に関するリスク把握や損害保険加入を含む事前対策の進捗・実施にあたっての課題などについて示した。

つづきは本誌2019年6月号でご購読下さい。

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