板金論壇

制度創設60周年をむかえた「高専」の役割

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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高専制度創設60周年 ― 全国に57校の「高専」

高等専門学校(高専)は1962年に設置・開校され、今年で制度創設から60周年をむかえました。1962年に設置された12校をはじめとし、現在は北海道から沖縄まで全国に51校(55キャンパス)の国立高専があり、公立高専3校と私立高専3校を合わせて計57校の高専があります。近年は、公立高専や私立高専の新設の動きもあります。

高専は、中学校卒業後の15歳の若者を受け入れ、本科5年の一貫教育によって高度な専門性を持つ人材を育てるユニークな高等教育機関です。創設当時は産業界からの要請に基づき、日本の産業発展を支える中堅技術者を、工業技術に関する実務教育によって養成する教育機関としてスタートしました。今日では、科学技術の発展と経済のグローバル化の中で産業構造が大きく変化し、2019年度からは全国の高専で世界で活躍できるグローバルエンジニアを育成するための活動も始まりました。

未来を創出する人材の育成が求められる中、高専が養成すべき能力も大きく変化しています。新しい時代の担い手としての実践力・現場力と創造性を有した高度な産業人材の育成 ― 特に時代の先を見据え、社会・経済の変化に対応できる力を持った人材を育成することが求められています。

大学と同程度の専門的な知識・技術を身につけられる

高専は、学生数5万2,000人、教職員数6,300人(内教員数3,800人、技術職員数700人)の大規模な高等教育機関。3~7の学科があり、理工系分野の学科としては機械・材料系学科(機械工学科など)、電気・電子系学科(電子工学科など)、情報系学科(情報工学科など)、化学・生物系学科(物質工学科など)、建設系・建築系学科(環境都市工学科など)、商船系学科(商船学科)といったものがあります。

5年一貫の教育課程(本科)の中で「一般科目」と「専門科目」がバランス良く配置され、実験・実習を重視した専門教育を行うことで、大学と同程度の専門的な知識・技術を身につけられるよう工夫されているのが特徴です。

さらに、5年の教育を受けた後に2年間の「専攻科」が設置されています。「専攻科」は、科学技術の高度化が進む中、「本科」卒業後により高度な技術者教育を行うことを目的としており、機械・電気システム工学系専攻、環境システム工学系専攻、物質工学系専攻などがあります。

「専攻科」への進学のほかにも、長岡市や豊橋市にある「技術科学大学」をはじめとする4年制大学に編入学したり、海外の大学などへ留学したりと、きわめて多様なキャリアパスとなっています。

現在は「本科」卒業後、約60%の学生が社会に出て経済や社会の発展の担い手として活躍しています。残り40%は「専攻科」への進学や4年生大学への編入を選択しています。

つづきは本誌2022年12月号でご購読下さい。

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