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希望を生み出す強い経済の実現に期待する

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2017年も残すところ、あとひと月。10月の衆議院議員総選挙で与党が議席の2/3以上を占める勝利をおさめ、11月1日に召集された特別国会で、第98代内閣総理大臣に安倍晋三氏が選ばれ、すべての閣僚を再任、第4次安倍内閣がスタートした。

日経平均株価は選挙結果を織り込み、期間中に2万1,000円の大台をつけ、11月7日には1992年1月9日以来、25年10カ月ぶりとなる高値をつけた。このまま年末までには2万4,000円台にいくか、とさえいわれている。また、11月5日には米国のトランプ大統領が初来日。日米パートナーシップが高らかに強調され、第4次安倍内閣は好調なスタートをきった。

安倍首相は第4次内閣発足にあたっての記者会見で、今後の経済運営について「生産性革命と人づくり革命を車の両輪とする」と述べ、2兆円規模の政策パッケージを12月上旬にとりまとめる方針を示すとともに、2017年度補正予算案の編成も指示、可能な施策から早期に実現させる考えを強調した。これまでも、「一億総活躍社会」の実現に向けて、「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」からなる「新・三本の矢」を一体的に推進し、成長と分配の好循環を強固にすると述べている。

具体的には、第一の矢「希望を生み出す強い経済」に向けては、名目GDP 500兆円を戦後最大の600兆円にするために、成長戦略を含む従来の三本の矢―「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」を強化するとしている。

第二の矢「夢をつむぐ子育て支援」に向けては、「結婚や出産等の希望が満たされることにより希望出生率1.8がかなう社会の実現へ」「待機児童解消、幼児教育の無償化の拡大(多子世帯への重点的な支援)」などを行うとしている。

そして、第三の矢、「安心につながる社会保障」に向けては、「介護離職者数をゼロに」「多様な介護基盤の整備、介護休業等を取得しやすい職場環境整備」「『生涯現役社会』の構築」などを掲げている。

「一億総活躍社会」をつくりあげるうえでの本丸である「人づくり革命」と「生産性革命」のうち「人づくり革命」に関しては、

①真に支援が必要な所得が低い家庭の子どもたちに限って、大学などの高等教育無償化を実現する。

②3歳から5歳まで、すべての子どもたちの幼稚園・保育所の費用を無償化するとともに、0歳から2歳児も所得が低い家庭では全面的に無償化する。

③2020年度末までに待機児童32万人分の受け皿整備を進める。

④介護離職ゼロに向けた介護人材確保のため、さらなる処遇改善を進める。

⑤何歳になっても学び直しができるリカレント教育を推進する。

⑥社会人の多様なニーズやIT人材教育など実践的な教育のニーズにも応えられるよう、大学などの高等教育改革を進める。

―としている。

「生産性革命」を推進するためには、力強い賃金アップと投資を後押しするため、2020年度までの3年間を集中投資期間と位置づけ、年内に新しい政策パッケージを策定するとしている。

国内景気は、民間企業の設備投資が順調なことと、輸出が好調なことから、2017年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.3%増、年率換算では1.4%増。7四半期連続でプラス成長となった。

来年の第4次安倍内閣の景気対策に注目したい。

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