特集

事業領域拡大による成長再加速

国土強靭化に対応する修繕事業の部材加工に板金設備を一括導入

点検・修繕作業現場の可視化から製造DXまでの一元化を進める

株式会社 佐藤組

LINEで送る
Pocket

画像:国土強靭化に対応する修繕事業の部材加工に板金設備を一括導入今年5月以降にリリース予定の「高所大型作業台」のミニチュアモデル

高速道路に架かる橋梁の架け替え、補修を受注

画像:国土強靭化に対応する修繕事業の部材加工に板金設備を一括導入第3事業部(ソリューション推進)原尊部長(左)と、佐藤周一社長(右)

㈱佐藤組は、佐藤周一社長の父親が建築・土木に関連する事業を行う企業として創業した。

佐藤社長は専門学校を卒業後、いずれ事業承継するなら同社事業の実務経験が必要と考えた父親からのアドバイスもあり、同社に解体工事を発注する橋梁メーカーへ入社。5年間の勤務で橋梁の製造プロセス全体の流れ、ビジネスの実務を学び、27歳になった2001年に同社へ入社した。そして、橋梁メーカーで培った経験を活かし、それまでの解体工事案件の仕事に加え、勤めていた橋梁メーカーが受注した高速道路に設置されているさまざまな橋梁の架け替え、補修工事などの仕事を受注するようになった。

高速道路の本線が、河川や渓谷や海峡などの上を越えるための橋は、大きく分類すると、コンクリートでつくった「コンクリート橋」と、鋼材でつくった「鋼橋」に分類される。また、高速道路の上空を横断する道路・水路・鉄道のための、跨高速道路橋(跨道橋)がある。

さらに、外気温の変化により橋梁の桁である鋼桁、コンクリート桁は伸縮する(コンクリート桁は乾燥による伸縮もある)。そのため、橋梁の桁端部あるいは橋梁のかけちがい部には、桁の伸縮に対応する継ぎ手が必要となる。この継ぎ手は伸縮装置(ジョイント)と呼ばれているが、車の走行の衝撃を直接受けるため損傷しやすく、段差が生じやすい。高速道路を快適に走行するためには、伸縮装置の段差をなくし、スムーズに走れるようにするための定期的な点検・補修作業が必要となる。

同社はこうした点検・補修作業にともなって発生する橋梁工事(橋梁架設・撤去・耐震補強など)を請け負うようになった。

直近に大規模修繕が必要な高速道路は3,700㎞

日本の高速道路は、1963年の名神高速道路・栗東~尼崎間の開通から60年を経た現在、延長約9,000㎞に達している。そのうち供用から30年以上経過した延長が約4割(約3,700㎞)を占めるなど、老朽化の進行とともに、きびしい使用環境にさらされていることによる変状の増加や、新たな変状の発生などが顕在化してきている。そのため、早期に大規模更新、大規模修繕に取り組む必要があるといわれている。現在は計画的な点検・診断・補修・更新を通じた予防保全によるライフサイクルコスト縮減を目指して、インフラストックの長寿命化の取り組みが始まっている。

そのため国は1991年から施設の安全・安心等を確保するため、点検→診断→措置→記録→(次の点検)の業務サイクルを通じて、長寿命化計画などの内容を充実し、予防的な保全を進めるメンテナンスサイクルの構築を進める大規模修繕に100兆円以上の予算を投入してナショナル・レジリエンス(国土強靭化)を進めようとしている。

  • 画像:国土強靭化に対応する修繕事業の部材加工に板金設備を一括導入ファイバーレーザマシンLC-VALSTER-3015AJ+AS-3015C
  • 画像:国土強靭化に対応する修繕事業の部材加工に板金設備を一括導入ベンディングマシンHRB-8025

工事に必要な部材調達に苦労

こうした流れを読み取った佐藤社長は、ビジネスチャンスと考えた。この決断は同社のビジネスモデルを一新した。首都高、東名神高速道、中央道をはじめとして名古屋以西の毎月20カ所ほどの現場で工事を請け負うようになった。

「工事の施工は元請業者と当社の現場代理人、実際に作業を行う協力業者の職人とが協力して進められていて、工事の進捗に関しては当社の工程管理、安全管理が要となっています。工事の詳細仕様はNEXCO東日本様から指示されますが、工事にともなう鋼製の構造物・工事用鋼製治具などは当社で設計、手配する必要があります」。

「これまでは、当社に製造能力がないため、鋼材加工業者・製缶加工業者に製作を発注し、納期・品質管理が大変な工数となっていました。また、でき上がった部材や治具を実際の施工現場で使用してみると、はめ合いや取り付けに際してすり合わせがうまくいかずに、修正やつくり直しが必要になる場合もあってその都度、対応に苦労していました」(佐藤社長)。

  • 画像:国土強靭化に対応する修繕事業の部材加工に板金設備を一括導入3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで作成した「高所大型作業台」に使われるモジュールの3次元モデル
  • 画像:国土強靭化に対応する修繕事業の部材加工に板金設備を一括導入プロトタイプとして製作した「高所大型作業台」

会社情報

会社名
株式会社 佐藤組
代表取締役社長
佐藤 周一
所在地
神奈川県足柄上郡開成町吉田島1592-1
電話
0465-83-0500
設立
1986年
従業員数
35名
主要事業
橋梁工事(橋梁架設・撤去・耐震補強など)、風力発電所工事(新設・解体・メンテナンス)、クレーンリース(2.6~550トンクレーンまで所有)、土木工事
URL
https://satougumi.com/

つづきは本誌2025年5月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから