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2026年は事業発展を目指す新たな年

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あけましておめでとうございます。

2026年の干支は「丙午(ひのえうま)」。60年に一度のかなり衝撃的な年になることを示唆しているともいわれている。「丙午生まれの女性は気性が激しく、嫁ぎ先に災いをもたらす」という迷信があり、過去(1966年)には出生数が25%も減少した。2025年の出生数が65万人前後と少子化が加速しているだけに、それだけは何としても避けたい。

ひるがえって設備投資環境を見渡すと、労働力人口の減少、高齢化にともなう熟練作業者不足、技術伝承などの課題に対応した自動化・省人化・高効率化・スキルレス化・環境対応に関する設備投資が増え、投資を抑制してきた企業を中心に老朽設備更新の必要性が高まっている。

一方で米国の関税政策、米中貿易摩擦、台湾有事をめぐる日中関係の悪化、地政学リスクを考え、設備投資に踏み切るタイミングをはかりかねる傾向も見られ、不確実性も高まっている。

2025年には日本の名目GDPが米国、中国、ドイツ、インドに次ぐ5位に後退。現状のままでは2030年には英国にも抜かれて、さらに順位を下げる見込みだという。円安が加速していることもあるが、日本全体に停滞感があるのはいただけない。なんとか干支の強いエネルギーをもらって成長・発展することを考えなければいけない。

2026年の景気見通しは不確実性を増しており、見通しはきびしい。雇用・所得環境の改善や高市内閣の積極的な経済政策の効果で、ゆるやかな回復を期待するが、前記したマイナス要因も多い。加えて、物価上昇の継続により消費者マインドの下振れなどを通じて個⼈消費におよぼす影響なども、景気を下押しするリスクとなってくる。IMF、OECDが予想した日本の2026年GDP成長率は、いずれも前年比マイナスとなっている。

今回、景気動向をウオッチするために、主要な板金需要業界の2025年以降の業況について分析したが、調べれば調べるほどに板金業界は恵まれていると思う。量産が前提の金属プレス、射出成形業界などと比較すると、多品少量生産向きで、製品リサイクルに対応でき、短納期対応もスムーズ。しかも嗜好性・意匠性が必要な高付加価値製品から、盤筐体、機械カバー、シャーシ、シムに至るまで幅広い製品・業種に対応しており、好不況の影響を受けにくい。サプライヤーから見ると受注平準化がしやすい業態であり、プレス加工や切削加工などと比較して、原価に占める材料比率も小さく、営業利益率も10~15%と比較的高い。

板金部品の構成比が比較的高い主要業種の2026年の業況見通しを調べると、多くの業種が前年比プラス成長になる見込みとなった。半導体製造装置、送配電システム、食品機械、包装機械、医療機器、データセンター、物流システム機器などが伸びており、半導体製造装置など大幅な成長が見込まれる業種もある。また、2025年度にGDP比2%となる防衛装備品に使われる板金部材も増えている。新たに防衛装備品の開拓を模索する板金サプライヤーが増え、すでに防衛装備品を受注するサプライヤーの中には、受注額が前年比で倍増するケースもあるという。

板金業界は、昨今のような不確実性が高まっている環境下では事業発展のチャンスがある産業でもある。強いエネルギーとジンクスが交錯する「丙午」には大きな変化が期待されるだけに、板金業界はこのフォローの風を受け、事業発展を目指す新たな年としなければならない。経営者の思い切った決断が必要になる年になる気がします。

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