ファイバーレーザ溶接システム活用事例
3台のファイバーレーザ溶接機を導入し、ラジエーター部品の溶接に適用
すぐれた溶接品質でひずみ取り・手直し・仕上げの工数が大幅削減 ― 効果絶大
有限会社 新海製作所
ファイバーレーザ溶接システムFLW-3000Leによる溶接作業
2015年に30代で3代目社長に就任
新海英次社長
㈲新海製作所は1960年に新海英次社長の祖父が東京都立川市で2~3次サプライヤーとして二輪車の部品加工を行う工場を開業した。丁寧な仕事と、TIG・半自動を主体とする溶接技術が評価され、得意先は次第に増えていった。
新海社長の父が2代目社長となってからも、事業は順調に伸びていった。1971年には昭島市内に工場を移転し、自宅兼工場を現在地に建設した。当時は武蔵の国の面影を残す緑が多い場所だったが、その後は周辺に中小の製造工場が増えた。行政の指導で地域全体が工業団地に指定されたことをきっかけに自宅を移転し、現在の工場が残った。
今年50歳になる新海社長が、高校を卒業して同社に入社したのは30年以上前になる。
「当時は自宅と工場が一体だったので、学校から帰宅すると工場が遊び場でした。そのうちにバイブロシャーを使った切断や、溶接の手伝いをしたりするようになりました。もともとものづくりが好きでしたから、手伝いは苦ではありませんでした。私にとって工場は、自分が想像したものがカタチになる、想像力と創造力を発揮できる場所でした」。
「工業高校を卒業して当社に入社した後は、すべての仕事ができるように、いろいろな工程を歩きました。現場を巡るうちに感覚的に理解できるようになり、自分がここにいるのは自然なことだと感じるようになりました」(新海社長)。
新海社長は2015年、39歳で3代目社長に就任した。
「私は末っ子で兄が1人、姉が2人いたので、兄や姉が事業を引き継ぐものだと思っていました。自分が後継者になるとは考えていなかったので、最終的に私が引き継ぐことになり、自分でも驚きました」(新海社長)。
左:パンチ・レーザ複合マシンLC-2012C1NT(マニプレーター仕様)/右:ベンディングマシンHRB-8025による曲げ加工。上部テーブルにモニターを設置し、図面を閲覧できる
ラジエーター部品の仕事が90%以上を占める
新海社長が入社した当時、プレス加工による量産の仕事は海外シフトが進み、徐々に下火となっていた。また、金型の製作は外部に委託していたため、プレス加工だけでは付加価値が少なく、溶接組立まで一式で受注することで利益を出していた。
プレスの仕事が減っていく中で、これからはプレスオンリーでは難しいと考えるようになった。同社はもともとプレスで加工したものを溶接やナット付けを行うことで付加価値をつけていたため、新海社長が入社した頃から、プレス加工と板金加工に加えて溶接・組立まで一貫して行う体制へとシフト。今では産業機械、農耕機、大型バス・トラック向けのラジエーターメーカーから受注するファンシュラウド、ファンガード、フレーム、ブラケットなどの仕事が90%以上になっている。
「当社が受注していた仕事は量産品から中・少量品まであり、プレスで絞ってナットを付けて終わりという製品もあれば、平板から曲げて溶接して叩いて仕上げる板金の製品もありました。父も祖父も、どちらかといえば板金の方が得意だったようです。手づくりの製品は付加価値が高いので、板金を伸ばしていきたいとよく言っていました」(新海社長)。
FLW-Leで溶接したファンシュラウド
FLW-Leで溶接したファンガード(修正なし)
会社情報
- 会社名
- 有限会社 新海製作所
- 代表取締役社長
- 新海 英次
- 所在地
- 東京都西多摩郡瑞穂町長岡2-8-14
- 電話
- 042-557-0823
- 設立
- 1963年
- 従業員数
- 20名
- 主要事業
- プレス精密板金加工、溶接・組立
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